
昨季リーグワンで準優勝したクボタスピアーズ船橋・東京ベイが11日、ホストエリアの東京都江戸川区にある複合施設「タワーホール船堀」で、12月開幕の2025-26シーズンに向けた方針発表記者会見を開きました。ゼネラルマネジャー(GM)就任以降、「スピアーズの黄金期をつくる」との目標を掲げる前川泰慶GMに、チームの強化面について聞きました。
――今シーズンのスピアーズは、フラン・ルディケヘッドコーチ(HC)体制の10季目を迎えました。選手スコッドに大きな入れ替えはありませんでした。
前川泰慶: 新加入は今年1月にアーリーエントリーで加わった新人4人と、昨シーズン途中加入(1~3月)のショーン・スティーブンソン。当初獲得予定だったフッカーの外国籍選手をケガで断念したため、昨季限りで三菱重工相模原ダイナボアーズを退団した安江祥光さんを獲りました。フッカーは代表活動でチームを離れる選手、ケガをした選手がいたので、どうしても補強が必要だった。ただ、これで60人の選手を抱えることになりましたので、これ以上の補強は現状考えていません。
――実質、唯一の新加入である安江選手は現在41歳。ディビジョン1(D1)の最年長プレーヤーになります。
前川: 私はGMに就くまでリクルートを担当してきましたが、まさか自分より年上(1歳)の選手を獲ることになるとは思いませんでした。ダイナボアーズを退団した後、代理人を通じて「スピアーズに入って優勝したい」という安江さんの希望を聞いていたので、ずっと気になっていました。実は現役時代に安江さんと対戦したことがあったんです。
――それはいつ?
前川: 確か私が高校1、2年生の時だったと思います。私の同志社香里と、安江さんの帝京は毎年、菅平の夏合宿で試合していました。試合は同志社香里が勝ったのですが、相手チームにとんでもない怪物がいた。それが当時フランカーだった安江さんでした。その印象が強かったので、“いつか一緒のチームになったら面白いな”と思っていたんです。すると、先述したフッカーの選手の入団が急遽なくなったので、すぐ安江さんの代理人に連絡を取り、獲得に至りました。
――獲得に際し、首脳陣の反応は?
前川: 元々獲得を予定していたのが外国籍選手だったので、フランHCに相談した時、「新しい選手も外国籍選手が欲しい」とリクエストされるかと思いましたが、「安江さん、素晴らしい」と好感触だった。またフォワードを担当するラッセル・ウィンターアシスタントコーチには「三菱の選手か。彼がなぜ空いているんだ?」と聞かれたぐらい、安江さんに対する評価は高かった。
――チームには南アフリカ代表のマルコム・マークス選手、日本代表の江良颯選手と代表クラスが在籍し、ポジション争いも熾烈です。
前川: 一番は経験値を高く評価しています。スピアーズの対戦相手として見た時、本当に嫌らしいプレーヤーだと感じていました。それをスピアーズでも発揮してほしいと思っています。安江さんと話していて一番感じたのが“成長したい”という気持ちが強いこと。「マルコム・マークス、江良颯がいても関係ありません」と言っていたほど、成長や優勝に対して貪欲なんです。
――コーチングスタッフでは、新たに山村亮さんがアシスタントコーチに就きました。
前川: 亮さんはチームディレクターの鈴木力さんとは、関東学院大学の先輩後輩(鈴木が1学年先輩)という間柄です。2人は学生時代のウエイトパートナーで、プライベートでも仲が良い。亮さんが前所属チームとの契約が切れたタイミングで、力さんに「すぐ口説いてきてください」とお願いしました。
――山村コーチは主にスクラムを担当します。
前川: スクラムを武器とするチームに入るのは、外部からの新任コーチとしては難しい部分もあると思います。スクラムを課題としているチームの方が手腕を発揮しやすいですからね。亮さんのルーツはヤマハ発動機ジュビロ(現・静岡ブルーレヴズ)のスクラムだと思いますが、それをスピアーズにどう落とし込むか。その化学反応が今から楽しみです。
――どういったタイプの指導者と見ていますか?
前川: 印象に残っているのは昨年のU20日本代表の合宿です。情熱的で理論的なコーチングをされていた。私が視察に行った日はあいにくの雨でしたが、亮さんが熱心に選手たちを指導していたことを未だに覚えています。また亮さんはスピアーズ加入後最初のミーティングで、「代表活動で選手がいない時期に、スクラムを成長させたい。代表選手たちに頼らなくてもいいレベルに引き上げる」と言っていた。私と一緒のことを考えてくれていたので、うれしかったです。
――最後に今後の目標を。
前川: 当然、今シーズンの目標は優勝です。東芝ブレイブルーパス東京さんに2連覇されましたが、スピアーズは3連覇を目指したい。あまり先を見過ぎるのは良くないので、目の前のことを少しずつクリアしていきたい。また3年後には創部50周年を迎えます。リブランディングし、チームの名を売っていきたいと考えています。
<前川泰慶(まえかわ・ひろのり)プロフィール>
1985年6月3日、奈良県出身。現役時代のポジションはロック。小学1年でラグビーを始める。同志社香里高、同志社大を経て2008年、クボタに入社。クボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)で8シーズンプレーした。現役引退後、広報・普及、採用担当、チームマネージャーを歴任。採用担当としてはスピアーズのリーグワン初優勝に貢献した根塚洸雅、木田晴斗や藤原忍などの獲得に携わった。24年からはゼネラルマネジャーに就き、スピアーズのチーム強化、運営に力を注いでいる。
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