高校野球の球数制限は、1週間に投げられる総数が500球以内と決まっています。このルールは、投手の身体的負担を軽減するために導入されたものであり、1週間の対象期間は都道府県大会等と、それに連続する大会日程の期間を含みます。
また、投手が1週間で500球に到達した場合は、その打者の打撃が完了するまで投球できます。ただし、その後は降板し、以降のその試合では投球できないというものです。
この記事では、高校野球の球数制限について、その歴史やルール、そしてその背景にある問題点について詳しく解説しています。より深い高校野球の知識を身につけて、また新たな視点で大会を楽しみましょう。
目次
高校野球の球数制限は、2020年のセンバツから導入されました。球数制限とは、投手の健康を守るために導入されたルールのひとつです。投手が過度に多くの球を投げることは、その肩や肘に大きな負担をかけ、怪我を引き起こす可能性があると考えられています。
野球は投手のパフォーマンスが試合の結果に大きな影響を与えるスポーツであり、特に高校野球では一人のエース投手が試合の大半を投げることは一般的であるため、健康や怪我の管理は重要視されます。
しかし、一般的に9回を完投する場合でも、投球数は約100〜150球程度であり、1週間に500球以上投げることは、投手の肩に過度な負担をかける可能性があるか、という部分で賛否が分かれています。
たとえば、某メジャーリーガーの選手や元プロ野球選手の中には、この制限に意味があるのか・不十分ではないのかとの意見も出ています。また、球数制限により、「一人のエースが試合を投げ切る」という、高校野球の魅力のひとつが失われる可能性も考えられるはずです。少し過去の例を見てみましょう。
過去の大会では1週間で500球以上投げる投手が存在していました。 たとえば、2006年夏の大会で決勝再試合を含む7試合を一人で投げ切った早稲田実業の斎藤佑樹選手は1週間で689球、2018年夏の大会で「金農旋風」を巻き起こした金足農の吉田輝星選手も決勝戦途中まで一人で投げ抜き、1週間で500球以上を投げており、彼らの勇姿を見たという人も多いことでしょう。
しかし、現在の球数制限の下では、大会を勝ち進むにつれて途中降板を余儀なくされる場面も出てくることから、一人のエースが全試合を投げ抜くといった名シーンが生まれにくくなったり、投手の選手層が薄いチームが戦いにくくなったりする部分もあるかもしれません。
高校野球の球数制限は、投手の健康を守るための新しいルールとして導入されました。18回までの延長戦から始まり、延長15回の問題点、そして延長13回からタイブレーク制の導入までを順に追っていきます。
高校野球の球数制限がどのように進化してきたのか、その背景にある問題とは何かを理解する参考にしてください。
高校野球の延長戦が18回までと定められたのは1958年夏の大会からです。
徳島商の板東英二投手が同年の春季四国大会で準決勝で16回、さらに翌日の決勝で25回を1人で投げ続け、この過酷な状況が問題視されました。これは、一試合で投げる球数が増えれば増えるほど、投手の肩や肘への負担が増大し、故障のリスクが高まるからです。
その結果として、延長戦は18回までへと短縮され、引き分けた場合は再試合となるルールが導入されることにつながっています。
18回までの延長規定が制定されたものの、依然として投手の酷使問題は解決しませんでした。1998年夏の大会で横浜高校の松坂大輔投手は、PL学園との試合で17回250球を投げ続け、翌日の準決勝でもリリーフ登板。
さらにその翌日の決勝戦ではノーヒットノーランを達成、彼の規格外の活躍に高校野球ファンは感動しましたが、投手の過度な負担が多くの議論を呼び、2000年春のセンバツから延長戦は15回までの短縮されることになりました。
しかし、15回の延長でも投手の酷使問題は依然として存在し、さらなる改善が求められました。これを受け、2018年春からは高校野球の延長戦は12回までとなり、13回以降は無死走者一、二塁から開始するタイブレーク制が全国的に導入、さらに2023年春からは延長10回からタイブレーク開始へと短縮されました。この制度の導入により、試合時間が大幅に短縮され、投手の投球数も減少しました。
球数制限は、選手の健康管理や試合の進行を円滑にするために設けられています。各地方大会では、球数制限ルールを守りながら熱い試合が繰り広げられています。
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