2021.09.10
オリジナルインタビュー第20弾!
〜後編〜山﨑康晃選手が登場!
スペシャルゲストが金メダリストに直撃!復調への道のりや東京五輪の秘話を語る
(取材日:2021年8月24日)
今回のオリジナルインタビューは、東京オリンピックの野球日本代表・侍ジャパンでの活躍が記憶に新しい山﨑康晃選手が登場!
「小さな大魔神」こと、頼れるハマの守護神は、帝京高校-亜細亜大学を経て、2014年のドラフト1位指名で、横浜DeNAベイスターズに入団。右投右打。プロ1年目から開幕一軍入りし、クローザーを務めるなど健闘。DeNAの選手としては初となる新人王に。最速153km/hのストレートや、代名詞ともいわれるツーシームなどを武器として、2年目以降も順調に活躍。誰もが認めるチームの勝利に必要不可欠な存在です。
昨シーズンは、開幕からこれまでにないような不調が続き、終盤には二軍へ。悔しい思いを抱えたまま迎えた今シーズンは、プロ入り後初となる二軍キャンプからのスタート。「結果で見返す」と再起を図り、開幕前に一軍に合流。さらには、東京オリンピック・野球日本代表の稲葉篤紀監督からの信頼を得て、代表選手に選出。侍ジャパンのメンバーとして、悲願の金メダルを獲得しました。
今回は、そんな今大注目の山﨑選手を直撃。前編と後編の全2回に渡ってインタビューの様子をお届けします。
インタビュアーはもちろんこの人、ベイスターズOB荒波翔が務める…のですが、今回はもう一人のインタビュアーとして、山﨑選手への祝福に駆けつけたスペシャルゲストが登場!
荒波がインタビュアーを務める前編は、怪我をしない秘訣や復調までの道のりなどを直球で質問。
>>前編はこちらから
お待たせしました!後編をお届け!
後編は山﨑選手ととても縁が深く、帝京時代の同級生でもある“あの人”が、山﨑選手の本音に迫ります!
(※本取材は2021年8月24日にリモート取材にて行われました。)
Interview Movie
実際のインタビューの模様を
動画でもお届け!
NGなし!?
高校時代の同級生“あの人”が登場
招待していただいてありがとうございます。荒波さんとはお久しぶりですね。
そうですね。
ローランドさんの登場でヤスアキ選手、すごい笑顔になりましたね!
ハハハ(笑)。
実は、前半のインタビューもずっとモニター越しに見ていたんですけど、ヤスアキ、珍しく真面目に話してるなぁと思って(笑)。
僕もね、「ヤスアキ〜!」とか言いたいんですけど、立場上真剣に野球の話をしなくちゃいけないんで(笑)。普段はこんなに真面目な話をすることはないです。
じゃあ、真面目な話はいったんここで一区切りでね。
はい!
ローランドさんに来ていただいたからには、いつものお二人ならではの雰囲気の中でやっていただきたいと思います。
ただ今回は僕も、立場的にはインタビュアーということになっているんですよね。
ヤスアキに対して1回も敬語を使ったことがないんですけど、インタビュアーとなると…やっぱり敬語のほうが良いのか、それともタメ口でいいのか。ヤスアキに選んでもらおうかと思って。
僕も立場上、迷う時がありますよ!
難しいですよね。山﨑選手、どちらがよろしいでしょうか?
見ている方にとっては、やっぱりいつも通り同等の立場で話すのが1番面白いんじゃないかと。
そうだよね!
そうですね。ぎくしゃくした感じは求めてられていないと思うので(笑)、いつも通りにしていただければ。
日常の感じで大丈夫!
じゃあさっそく、聞きたいことが色々あるんだけど…!
怖いな!何聞かれるんだろう。
今日はもうNGなしだからね(笑)。
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五輪金メダリストに
なった実感はじわじわと
まぁでも最初はライトな質問から。
俺ら、東京オリンピックが始まる前から動画でやり取りしててさ、「金メダル取るわ!」みたいな決意表明とかもしてたじゃん。
その上で実際にオリンピックの金メダルを取った時の達成感っていうのはどう?
地球上に金メダリストは何人もいないわけだから、ぜひ聞いてみたいな。
いきなり実感が湧くものなの?それともじわじわ?
テレビとか新聞とか色んな媒体で、オリンピックのことが報道されているのを目にしたり耳にしたりして、僕自身もようやく「本当に金メダル取ったんだ!」って。
本当に取ったんだよ。
すごくフワフワしているような感覚が今もあって。
やっぱり実感は直後にくるものではなく、じわじわと?
うん。じわじわきてるかなぁ。この前、東京の実家に帰ったんだけど、その時も…。
おっ!ベリア(※)!ベリア元気?
(※山﨑選手の母ベリアさんのこと)
元気元気(笑)。
1番喜んだんじゃない?
そうそう。めちゃくちゃ喜んで。
それで実家に帰った時、一緒にスーパーに買い物に行ったんだけど、たまたま気を抜いた瞬間を母に見られていて「ピシッとしなさい!」「あんた金メダリストなんだからしっかりしなさい!」って言われて。
そんな感じだから、メダリストの感覚っていうのはあんまりまだないっていうか。色々報じられたりしていく中で、日に日に実感していくものなのかなって。
その時って意外と実感はないものかもしれないよね。
そうだね。今はまだあんまり感じられてないかな。
でも実感はなくても、金メダルはやっぱり重たい?
重たい!
いじられ役は誰?
日本代表チームの雰囲気
日本代表チームの雰囲気はどうだった?
みんなと仲良くやっている様子の写真を送ってもらったけど、一致団結していてすごく良い雰囲気に感じられた。
チームの勝ち方もすごかったじゃん?劇的な勝ち方。俺は野球専門家ではないけれど、サッカーでも僅差のゲームで、ああいう勝ち方をするとチームが…。
勢いに乗るよね。
そう。逆にラッキーだったのかなって思う。
雰囲気はどうだった?
雰囲気に関しては非常に良かったです。
金メダルへの重圧がかかる中で、自分たちの野球を表現できたかなと思う。
ロッカールームでの雰囲気も常に和気あいあいとしていて、みんな楽しみながらやっていたな。
良いチームの良い雰囲気づくりには、ムードメーカーが必要不可欠だけど、いじり役・いじられ役は誰なの?
いじられ役は若手の選手が多くて、栗原陵矢選手(福岡ソフトバンクホークス)とか、村上宗隆選手(東京ヤクルトスワローズ)とかかな。
オリンピックということもあって、若手だとどうしても萎縮したりしてしまうものだと思うけど、今回のチームでは全然そんなこともなく。
ヤスアキはもうアラサーだから…。
そう、代表メンバーの中でも中堅くらいの位置になっちゃうんだよね。
ヤスアキがいじられ役じゃないんだ!
全然違う(笑)。
高校時代、あんなにいじられてたのに。
俺は「引っ張ってくキャラ」だね。
引っ張ってく…(笑)?
でもそうそう、日本代表の“広報”を務めたしね。
そうなんです。多くの方にTwitterを見ていただいて。チームの中では、主に写真を撮る係で、たまにちょこっとセットアッパーを(笑)。
いやいや(笑)。
でも、そんな山﨑選手をはじめ、上の世代の選手たちの雰囲気が良かったんだろうね。
だから下の人たちもやりやすかったのでは。
そうかもしれないですね。上の世代というのが、僕の4歳上で最年長とかだったので…。
じゃあもうほぼ、ヤスアキは上の世代だったと。
上の世代の雰囲気づくりってさ、やっぱ帝京高校時代のアレが生きてるんじゃない?
俺らが1年生の頃って先輩に怖い人たちが多くて、下の世代はみんな萎縮してた。
1年生とかさ、みんな怖がって投げてたりとかしたじゃん。ああいうのって、チームでは絶対良くないと思うから。
下の世代も活躍しないとチームって成り立たないからね。
そうだよね。だから、反面教師みたいな?そういう経験が生きたんじゃない?
あるね(笑)。
マウンドに立たなければ分からない
心境とは
二人が揃うとすごく話が広がるね。ちょっと広がり過ぎちゃうくらい(笑)。
次の質問に移りましょうか。
脱線しちゃうんですよね(笑)。
次はオリンピックでの登板時の心境を聞きたいな。あんまり緊張しているようには見えなかったんだけど、実際のところは?
やっぱり緊張はしたよ。
他競技の影響も大きかった。テレビを付けたら常にオリンピック関連の話題で、「柔道で金メダル」「卓球で金メダル」っていうニュースを聞くと、僕たちも同じオリンピックという舞台で戦っているという気持ちが強くなったし。そんなことを思いながら投げていました。
そっかそっか、やっぱり重圧を感じながら。
でも良いピッチングだったよ。素人目で言うのもなんだけど。
ありがとう。
マウンドに立たなきゃ分からない難しさってあるじゃん。
俺も1回立った(※)けどさ。
(※2020年9月12日「DeNA-中日戦〈キッズSTAR☆NIGHT2020 Supported by J:COM〉」の始球式の時のこと)
そうでしたね。「ストライクゾーンなんかに俺は収まらない」って言ってましたもんね。
そうそうアレ(投げたボールは左ボックス方向、ベース手前でワンバウンド)を、どう言葉で表現するんだろう?って思ってたらあのセリフだったからね(笑)。
素晴らしいよね。
実際に投げてみて思ったのが、世界中のどんなバッターも俺の球は絶対に打てないということです。
確かにあれは、大谷翔平選手でも打てないですね(笑)。
そうなんです。大谷選手は僕の球を絶対前に飛ばすことができない(笑)。
前へ前へ!
昨シーズンの自分にリベンジを
次は少しセンシティブな内容になるんですけど、今シーズンはプロ入り後初の二軍キャンプスタートとなりました。悔しさっていうのはね、昨シーズンも色々語り合ってはきているけど、今シーズン序盤はどんなことを考えていたのかなって。
うーん。1回リセットした感覚かな。
始まる前までは自分に対する不満と戦っていて、スタートしてからはとにかく上へ上へ、前へ前へ進むつもりで。
喜怒哀楽で言ったらさ、どの気持ちが1番近いのかな?
悔しさだったり、怒りとか不甲斐なさ、それとも燃えたぎるような見返してやろう!っていう前向きな気持ち?ひとことで表現するならどんな感情?
見返してやろう!っていうのが強かったかな。
やっぱりそうだよね。
良くない状況になるとさ、自分に対して苛立ったり、評価しない人に対して怒ったりとかさ、そういう気持ちにもなるものだけど、「見返してやろう」っていう強い気持ちでいるんだろうなって思ってた。
今のを聞いてさすが男だなって思ったし、有言実行したしね。
いや、でもまだまだですよ。頑張ります。
シーズン後半も期待してますね。
“ローランドボール”投げますよ!絶対に誰も打てないボール。
いつでも投げ方教えるから。
俺、これでも一応プロなんでね(笑)。
あ、そっか忘れてた(笑)。失礼しました!
批判に傷ついても、
結果を出してはね返す
さっきの話題に付随することでもあるけれど、スポーツ選手には批判がつきものだと思う。俺も職業は違えど、人前に出る仕事だから当然ある。
でも、これって社会に出ると、大なり小なり職場で批判されたりすることもあるだろうし、誰もが向き合わなきゃいけないことなのかもしれない。
だから、その批判に対する向き合い方って全国民が知りたいことだと思うんだけど、ヤスアキ的に、プロスポーツ選手として、どう批判と向き合っているのか教えてほしい。
ヤスアキの場合、SNSをやっている分、批判を受ける窓口も大きいじゃん。
活躍すれば褒められるけど、活躍できなかったり失敗すれば、フォロワーたちが一気に批判の目を向けてくることもある。そこはどうマネージメントしてるのか聞きたいかな。
そもそもあんまり見ないっていうことを1番の対策にしてるけど、どうしても目や耳に入ってきてしまったものは、結果を出してものを言わせないようにしているかな。
そこはやっぱりスポーツ選手の性(さが)だよね。
僕たちの場合は、多くの人に見られて成長する部分もあるから、そこはなんていうかバランスを取りながらだけど、でも僕も一人の人間だから…。
傷つくこともある?やっぱり。
うん、あるね。
そりゃそうだよな。
みんなそうだろうけど、認められて初めて自信がつくからね。
そういうで意味でも結果を出さないと、と思う。
考え方の違いだけど、俺の場合は会社のスタッフたちに「俺が間違っていると思ったら、ちゃんと言ってくれ」っていう話をしてるのね。
俺、イエスマンたちの褒め言葉には価値がないって思ってるから。
なるほどね。
社長になると、「すごいすごい」ってみんなチヤホヤする。ちょっとダサい髪型とかしてても、「カッコいい」って。何が本当で何が嘘かわからなくなる。
そういう意味だと、ミスした時に世間が批判してくれるっていうのは貴重なことだと思っていて。そういう人たちからの褒め言葉ってさ、なんか素直に受け止められると思うのよ。
「ミスしたって良いじゃないですか」って言ってくれるのって本当のファンじゃないと思ってるから。
ミスした時に批判してくれる人の褒め言葉にこそ価値があるって思えるから、ミスしたらちゃんと批判されて、良い時はちゃんと褒めてもらえるヤスアキは、正当に評価されてるんだなって思う。何か言われても黙らせる実力もあるしね。
今後もね、そういう真摯に向き合う姿をいちファンとして見ていたい。
頑張ります。
ベイスターズ優勝で
横浜を盛り上げたい!
ちょっとざっくりした話ではあるんだけど、プロ野球選手としての将来的な展望を教えてほしい。
一番はやっぱり、クローザーに戻ることかな。またお客さんが入るようになったら、球場全体でヤスアキジャンプをして。さらに優勝して、横浜を盛り上げていきたい!
おお!生涯ベイスターズ宣言!
そこまでいうと話が大きくなっちゃうけど、プロに入ってからはこの横浜という街で色んな経験をして、成長させてもらってここまで来れたから。
優勝に導くことで恩返しができたら良いなって。
今のひとことは、ファンのみんなもめちゃくちゃ嬉しいと思うよ!
あのメッシでさえ、お金でパリへ移籍しちゃうような世界だからね。プロスポーツの世界っていうのは。
あのニュースは衝撃的だったよね。
確かに衝撃的だった!
来シーズンは
グローブにあの名言を刻んで
あとね、動画(※)の中でさ、新しいグローブに俺の言葉を刺繍するみたいな話をしたじゃん。あれって、俺絶対その後入れてないと思ってるんだけど。
(※先述の始球式の前にオンラインで行われたROLANDさんと山﨑選手の対談のこと。刺繍に関する二人の会話は、ROLANDさん公式YouTubeチャンネル「THE ROLAND SHOW」内の動画「【始球式の裏側】SNS騒然の大暴投&山﨑選手がローランドだけに語った本音」で確認できる)
あぁそれは聞きたいですね。
えーと…あれはね、グローブってさ、刺繍を入れるのに1ヶ月とか2ヶ月かかっちゃうんだよね。で、古いグローブからどんどんアップデートしていくから、来シーズンのキャンプには間に合うかな?うん。そのときにはちゃんと刺繍を入れて一緒に戦っていきたいな、と。
マジで?
来シーズンにはばっちり入れるつもりだと。もちろん試合用のグローブにも入れるんだよね?
はい。ゲーム用に入れたいと思っていますね。
投手陣って、けっこういっぱいグローブを持っているものなんですよ。
なので「練習用のグローブの方には入れてありますよ」って言い訳できる可能性もある(笑)。
ちゃんとゲーム用のグローブに入れるって、ここで宣言します(笑)。
ちゃんとクローザーの時に使うグローブに入れるって宣言してもらわないと!
そうですね。「守護神」に返り咲く時のグローブに。
どんな言葉を入れようって話をしていたか荒波さんはご存知ですか?
動画を見ていないみなさんも知りたいと思うので、ぜひ教えてください!
その時はちょうどコロナ禍が起こり始めた頃で、僕は経営が上手くいっていなくて。山﨑選手も調子を落として厳しい状況だったんですね。
で、「止まない雨はない」っていう言葉があるじゃないですか。
その言葉ってなんかちょっと嫌だなって僕は思っていたんです。雨が止むのをただ待っているだけな感じがして。雨は止んでも止まなくても、雲の上に行ったら晴れている。だったら雲の上に行く努力をしようぜ!っていう話をしたんですね
なので「止まない雨はないと思うなら、雲の上に行く努力をしよう」と。あるいはもっと単純に「雲の上に行こう」みたいな。そういうのを刺繍に入れようぜみたいな話をして。そして見事に裏切られた感じ。
いやいや裏切ってはいない(笑)。
手のひらに入るじゃん。それくらいの文字だったら。
入ります入ります。ちゃんと入るし、刺繍もちゃんと入れます。
でもさ、ヤスアキ今みたいにちゃんと説明できるかな?
刺繍を見た人に「これってどういう意味?」って聞かれてうまく説明できない気が…。
だから今のうちに、ちゃんと聞いておいた方がいいよ(笑)。
確かに、細かい意味は今初めて分かったような。
ちゃんと聞けば「良い言葉だな」って分かるんだけど、ただ「雲の上に行こう」ってだけだとちょっと意味が変わってきちゃうからね。
確かに!
今の説明が大事だよ!
そうそう。今の説明をしっかり交えてね。
楽しいひとときは
あっという間に過ぎ…
あっという間に時間が過ぎてしまいました。山﨑選手は試合前なので、そろそろ締めに入りたいと思います。ローランドさん、今回インタビューしてみていかがでしたか?
金メダルを取った貴重な感想も聞けたし、同級生でなければ本人に聞けないような質問もしっかりできたかなと思います。インタビューを始める前から今日を楽しみにしていて、興味津々だったんです。
聞きたいことはしっかり聞けたし、学生時代から変わらない根の部分も感じられて、安心しました。何より元気そうで良かった!
なかなかこんな雰囲気の中でインタビューできることってないと思うので、ローランドさんに来ていただいてファンのみなさんも喜んでいると思います。ありがとうございました。
ありがとうございました。
さて、山﨑選手には、後半戦に向けたファンのみなさんへのひとことをお願いしたいと思います。
巻き返しを図るために、僕たちベイスターズは毎日準備しています。ファンのみなさまの声援に応えられるように一日一日頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします。
今日はお二人ともお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました!
©YDB
次回のインタビューもお楽しみに!
スペシャルゲストをご紹介します。
山﨑選手のファンなら、山﨑選手との厚い友情はきっとみなさんご存知、ローランドさんに来ていただきました!
ローランドさん、今日はお忙しい中ありがとうございます。