ABOUT
羽海野チカ/白泉社
羽海野チカ作の高校生プロ棋士を主人公にした漫画「3月のライオン」とコラボした将棋大会「J:COM杯3月のライオン子ども将棋大会」を全国各都市で開催します。
本大会は初心者向けの「交流クラス」と、上級者~有段者レベルの参加者によるトーナメント形式の「全国クラス」に分かれており、「全国クラス」を勝ち抜いた上位入賞者は将棋会館でおこなわれる全国大会に臨みます。
各地方大会には豪華プロ棋士たちが来場し、トーナメント戦以外にも、プロ棋士指導対局や大盤解説等の催しをお楽しみいただけます。
「全国クラス」と初心者向けの「交流クラス」の2クラスで行われる大会。「全国クラス」の上位入賞者は、東京「将棋会館」で行われる全国大会へご招待!
地区大会の「全国クラス」を勝ち残った全国の猛者たちが、東京「将棋会館」に集う全国大会。ついにチャンピオンが決まります!頂点の座を射とめるのは、いったい誰なのか。
J:COMは日本将棋連盟内の棋士養成機関である奨励会の運営に活用いただけるよう、毎年寄付を行います。奨励会への企業支援は当社が初となります。また、新たに棋士となる四段昇段者のこれまでの精進・努力を称え、棋士として活躍して頂くことを応援できる品物を「J:COM賞」として贈呈します。今後の大一番で着用していただくことを願い、2021年度はスーツ仕立券を贈呈しました。
「J:COM賞」の授与は、大会に参加する子どもたちの目標となる存在になってほしいとの願いから、「J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会」の会場を中心に行います。
奨励会からは、通常、年間4人がプロ棋士になり、また原則26歳までという年齢制限の中、才能あふれる子供たちが切磋琢磨し、人間形成する場でもあります。 J:COMは、プロ棋士という狭き門に向かって一途に取り組む若者たちを応援してまいります。
受賞年度 | 奨励会3段リーグ | 新四段昇段者 | |
---|---|---|---|
2024年度 | 第75回 | 獺ヶ口笑保人 | 吉池隆真 |
第74回 | 山川泰熙 | 高橋佑二郎 | |
2023年度 | 第73回 | 宮嶋健太 | 上野裕寿 |
第72回 | 小山直希 | 森本才跳 | |
柵木幹太 | ー | ||
棋士編入試験 | 小山怜央 | ||
2022年度 | 第71回 | 藤本渚 | 齊藤裕也 |
第70回 | 岡部怜央 | 徳田拳士 | |
2021年度 | 第69回 | 横山友紀 | 狩山幹生 |
第68回 | 井田明宏 | 高田明浩 |
(2024/10/14 子ども将棋大会東海大会内)
小学1年生の時に学童スクールで友達に将棋を教えてもらい、面白いなと思ったことがきっかけで、両親に頼んで教室や道場に通うようになりました。J:COM杯の神奈川大会に出場したときは準優勝でとても悔しかったですが、後手横歩取りで楽しんで指した記憶があります。決勝戦で鈴木大介先生が解説をされていて、対局に集中しながらも、その解説が面白かったことを覚えています。
二段から三段へ上がれない時期が約2年半あり、コロナ禍ということもあって、学校で友達と話したり遊んだりする時間がなかったことと勝てない時期が重なりとても苦しかったです。
そんな時、友達から「大丈夫、いつか上がれるから信じてるよ」と言ってもらい、その言葉がとてもうれしく、励みになりました。小学生のころから親が「自分の好きなようにやりなさい」と言ってくれていたこともあり、将棋一本でやっていこうと思っていました。周りの友達は大学生が多いですが、この挑戦を応援してくれています。
尊敬している棋士は永瀬拓矢九段です。研究会をご一緒させていただく中で言葉では言い表せない熱量がひしひしと感じることができて、そういった経験からもこのようにプロになれたと思っています。なかなか真似できるものではないですが、まずは意識の部分で近づきたいなと思っています。
今後は、いろいろな棋士の先生と指す機会があるので、楽しみつつ、勝ち星を積み上げてゆくゆくはタイトルを獲得できるような棋士になりたいです。
将棋以外では、サッカー観戦が趣味で、特にリヴァプールのモハメド・サラー選手の一生懸命に走る姿や、カウンターを得意としているところが好きです。
将棋での得意な戦法は「右玉」で、ずっと続けていて今でも指すことがあります。相手に攻めさせて、逆にいきなり攻めにかかるまさにカウンターといえる戦法です。
将棋は、時に楽しみよりも、負ける怖さが勝ってくるときがありますが、気楽に思いつめ過ぎずに指すことが大事だと思っています。大会に参加する子供たちにも、将棋は楽しいから指しているという気持ちを忘れずにいてほしいです。
(2024/9/16 子ども将棋大会関東大会内)
皆さんの前で表彰していただく経験は、自分が子どもの頃、小学生大会に出て以来でしたので嬉しかったです。
私は父と兄が指しているのを見て、5歳頃から自然に将棋を指すようになりました。初めて出たのは、地元である船橋の小さな大会でした。最初のうちは全然勝てずに悔しかったですが、初めて一勝してからどんどん楽しくなり将棋を続けられました。また、父が毎週末必ず将棋大会や将棋教室に連れて行ってくれていたので、もっと勝ちたいと思うようになりました。
奨励会には、2011年9月に小6で入会しました。当初は習い事の延長戦のような気持ちでしたが、初日に先輩の殺気立った雰囲気を感じ、意識が変わったことを覚えています。
奨励会の同期には、2年前にJ:COM賞を受賞された同級生の岡部怜央四段がいます。彼がすごい勢いで前へ進んで行くので、それを必死に追いかけていました。今も岡部さんの背中を追っています。
三段に上がったのは、2020年9月です。コロナ禍により、研究会や奨励会もすべて延期になった期間でしたが、その数か月が自分を見つめなおす時間になりました。将棋が指せることはありがたいことだったと再認識し、それが三段にあがるきっかけになったと感じています。
また、その頃から、AIをつかった序盤研究の割合も増えました。自分は序盤の精度が上の方に比べて足りないという気持ちがありましたが、研究により改善でき、三段にあがる原動力になりました。
三段リーグに進んでからは、特に佐々木勇気八段にお世話になりました。多い時は週に4回5回と研究会に集まり、岡部さん含め皆で終電まで指すことも多かったです。一手一手を厳しく見つめなおすことで急に実力が伸びたと感じています。
三段リーグ最終日には、岡部さんも駆けつけてくれ、終わった後の打ち上げにも参加してくれました。他にも、佐々木勇気さん・斎藤明日斗さんなど、お世話になった先輩方にも集まっていただきありがたかったです。
将棋以外の趣味は、散歩です。最寄り駅から2~3駅手前で降りて歩いて帰るのは気分転換になります。最近はありがたいことに様々な地方に呼んでいただく機会があり、遠征先での散策や、地ビールなどご当地のお酒も楽しみの一つです。
現在対局は予選の一番下から始まりますが、年度内には、そこから勝ち上がり棋戦の本戦入りしたいです。長期的には、40代50代も第一線で活躍して、生涯600勝(将棋栄誉賞)することを目標にしています。
憧れの棋士は、今日審判長でいらしている森内先生と、羽生先生です。羽生先生と森内先生のお2人の対局が名人戦というものだと勘違いするほど、子ども時代にずっとお2人の戦いを見て育ちました。
将棋は一度ルールを覚えてしまえば、いくつになっても指せる素晴らしい競技だと思います。最初のうちは勝ち負けにこだわらずに楽しんでほしいです。
棋士を目指されるお子さんには厳しい道のりが待っているかと思いますが、今日のJ:COM杯など、大会での楽しかった思い出を忘れずに、また奨励会に入った時もその気持ちを忘れずにいてほしいです。そして棋士を目指されない方も、将棋を通し、大人になった時に思い返せるような楽しい思い出をつくってほしいと思います。
(2024/7/27 子ども将棋大会東北大会内)
J:COM賞については、過去受賞された先輩棋士から話を聞いていて、大変ありがたいと感じていました。奨励会は日の当たらない場所で、なかなかフォーカスされることがないため、スポットライトをあてていただき自分の努力を評価していただけることを素直にうれしく思います。
将棋との出会いは小学1年生の頃。仙台の地で覚えました。父親から教わり、天童や仙台の教室に行って将棋を指していました。いつか棋士になって東北に帰ってきたいと思っていたので、今回目標が達成できました。この大会も多くの方が参加してくれましたが、もっと将棋人口を増やし、さらに人を呼べるよう、東北のみならず全国で子どもたちの普及に役立ちたいと壇上で感じました。
J:COM杯は自身が子どもの頃にはまだ無く、参加できる子どもたちがうらやましいです。まとまった地区大会があり、かつ全国大会につながる形式は、予選と本選がある公式戦にもどこか似通った部分があり、特別なものに感じます。
同じ地域の強い子と指すのも楽しいですが、全国の子たちと指せる機会は貴重です。将棋はひとりひとり微妙に違ってくるもので、様々な人と対局する中であらたな発見や楽しさがあるものだと思います。自分も小学生の時は、全国各地の強者とさせるのが楽しかったことを思い出しました。
子どもの頃の記憶では、特に小学生将棋名人戦で準優勝したことが印象に残っています。優勝したこともあるのですが、尊敬する羽生先生が解説だった年に準優勝となってしまった悔しさの方が思い出深いです。
奨励会には13期、6年半いたのですが、やはり三段リーグが特に印象に残っています。昇段していく先輩方の背中を見ながら、自分に足りないものは何かを日々もがきながら探すのは苦しい作業でした。その中で、多くの人に助けてもらいましたが、特に母親は自分以上に自分のことを考えサポートしてくれる存在でした。昇段を電話で報告した時もとても喜んでくれ、本当は泣きたかったそうですが、既に泣いていた自分に対し、かえって冷静に「これから記者会見があるんだから、泣いていちゃだめだよ」とはっぱをかけてくれました。昇段時は、自分が嬉しいという気持ち以上に、周りに良い報告ができる、とほっとした気持ちが強かったです。
こうした大会など、将棋界は改めて多くの方のご協力で成り立っていると改めて感謝の想いが溢れます。棋士は将棋しかできないものですが、これからも応援してくださっている方々に将棋界を支援して良かった、と思ってもらえる将棋を指したいと強く思っています。また、普及の面でも、将棋について子どもたちに何か接点をつくれるような活動ができればと考えています。
憧れの存在は、羽生先生です。将棋は2人でつくりだす芸術的な面があると思いますが、羽生先生の将棋は芸術点がとても高いと感じます。私も、将来的に多くの人を魅了できる将棋指しになりたいです。
また、今の将棋界には、藤井七冠、伊藤叡王など、多くの手ごわい相手が上位にいますが、勝負師として、上を目指さないと意味がないと思っています。将来的にタイトルに絡む活躍できるよう、まずは若手の棋戦で優勝したいです。
将棋を長く続けると、もっと強くなりたい、大会で優勝したい、など、いろんな気持ちや焦りが出てくると思いますが、まずは将棋を楽しむ気持ちをどういう立場にあっても忘れないでほしいです。そして、自分が目標とすることに対し、焦らず、目の前の対局一つ一つを頑張るということを、将棋を指す方々に意識してほしいです。
(2023/11/19 将棋の日in関西)
J:COM賞については過去受賞された先輩方から聞いていました。人前に出ることが多くなったので、スーツ仕立券がいただけることを嬉しく感じています。駒をいただけることも嬉しいです。(※J:COM杯全国大会出場者に贈られるもの)
私はアマ2段くらいの棋力の父から教えてもらい、5歳の時に将棋を始めました。小学1年生から加古川将棋クラブに通い始め、実力を伸ばしていました。
子どもの頃に参加した、一番大きな大会は小3の時に出た倉敷王将戦の低学年の部です。ここで全国優勝したのをきっかけに、プロを目指そうかな、と思うようになりました。
J:COM杯は、小6で参加した第4回大会で準優勝したことが記憶にあります。J:COM杯は小学生も中学生も出られることが特色だと思っていますが、決勝相手が同級生位の子で、「小学生には負けたくない」と思っていたのに、最後負けてしまい悔しかった記憶があります。
大会の翌月から奨励会に入り、中3で三段になりました。すぐプロになれるかな、と思いましたが、三段リーグで苦労し、抜けるのに5年かかりました。その時期がつらかったです。
地元である加古川は「棋士の町」ということで将棋も盛んです。そこでの応援の声はとても励みになりましたし、同じ井上一門の棋士をみならって自分もがんばることができたと感じています。
高校を卒業して、大学に進学せず将棋一本で、と決めてから、もう上がるしかないという強い気持ちで取り組み、将棋の勉強の時間も増えました。関西将棋会館で先輩に教えてもらうことや研究会への参加も増え、実力が伸びたと思っています。
井上一門では、研究会が月に2回加古川で開かれています。主に奨励会員が参加し、お互いに切磋琢磨している場です。誰かが昇段すると自分も負けていられないという思いが芽生え、狩山君や藤本君につづかないと、と刺激につながりました。
井上先生は、三段リーグで結果が出ていない時も「上野君なら大丈夫」と声をかけてくれたし、他にも弟子はいっぱいいるのに、一人一人を気にかけてくださり、感謝しています。
新人王戦では最速優勝という記録を残すことができましたが、これは三段のうちに決勝まで勝ち上がってこられたからだと感じており、三段リーグで苦労した経験が活き、地道に実力がつけられた結果であると受け止めています。
まだ新人王戦しか戦っていないので、今後他の棋戦でも活躍していきたいですし、タイトルをとれるように頑張りたいです。
また私は藤井聡太先生を目標にしていきたいと感じています。藤井先生は自分よりひとつ年上ですが、遠い存在に感じています。常に向上心を持っておられる点がすごいと思います。
新人王戦優勝の記念対局で藤井先生とたたかうことになるので、がんばりたいと感じています。
趣味はスポーツ観戦です。野球の阪神ファンで、テレビの試合を見るのが息抜きになっています。
強くなるための秘訣は、いっぱいいろんな人と対局することだと思っています。身近なライバルをみつけるのもいいし、年上の人に挑戦するでもいいと思います。将棋に取り組む子どもたちには、いろんな大会を通し色々な方と指すことを大事にがんばってほしいです。
左から、J:COM田口、獺ケ口笑保人四段、吉池隆真四段
獺ヶ口 笑保人 四段
(2024/10/14 子ども将棋大会東海大会内)
私は第1回J:COM杯子ども将棋大会全国大会に参加しましたが、まず大阪大会で優勝して、初めて全国の大会に行ける、東京に行けると嬉しかったことを覚えています。全国大会で優勝できたことはその後の自信につながり、奨励会にもつながったと感じています。
当時、表彰式の時に米長邦雄先生から「この子は羽生(先生)くらいにはなります」と声をかけていただき、スーパースターにそう言ってもらえてとてもやる気が出ました。
米長先生はお会いする前から尊敬していて、おもしろくてリラックスしていて自然体で、棋譜も鋭い手が多いところもとても魅力的です。
三段リーグに上がった時は、なかなか勝てずに苦しみましたが、将棋の時間を増やしたことと相手の情報収集と分析をすることを心掛けていました。苦しい時も励みになったのは、自分の知らないところでも、影で見てくれている方、長く応援してくれる方の存在です。そういう方々にも、これからもいい報告ができたらいいなと思います。
今は大学で脳神経のシナプスを観察するための超顕微鏡技術の研究をしています。棋士を続けながら、少しでも多くの病気を解明していきたいです。
大学の研究と将棋はスケジュール的にも意外と両立ができ、将棋をどうブラッシュアップして自分を強くしていくかということを考えていました。特に年齢制限ぎりぎりで初段に上がってからは、自分の棋譜を分析し、抜本的に直そうとしました。普段は研究や将棋に熱中していますが、通学時の自転車で群馬の赤城のからっ風を感じながら走ることがリフレッシュになっています。
棋士はロングランなので身体にも気をつけながら大きな大会で優勝したいです。一局一局を積み重ねていき、ゆくゆくは棋戦で優勝したいと考えています。
今の将棋を楽しんでいる小中学生は、フレッシュな頭がうらやましいです。自分もできることなら戻って一から鍛えなおしたい。みなさんにはそのチャンスがあると思うので、頭があつくなるまで考え続けて将棋を上達させてほしいなと思います。論理的な思考能力や頑張ったという経験も一生役に立つと思います。
獺ヶ口四段が優勝した第1回大会の様子はこちら