いつか巡ってくるチャンスのために
――新人声優やこれから声優を目指す方に向けて、白井さんからメッセージをいただいてもいいですか?
白井:声優業界に入って周りを見てみると「初めてのオーディションに受かって即デビュー」みたいに、トントン拍子でうまくいってるように見える声優さんも多くいます。でも、僕は専門学校に2回、養成所に2回、さらに事務所に入って4年でやっと、自分がやりたかったアニメのオーディションに受かってる。自分でも全然順調だとは思わないけど、なかなかうまく行かなくても必ずチャンスが巡ってくるときはきます。
新人の頃は、チャンスをなかなか活かせないことも多いかもしれない。だけど、チャンスが巡ってきたときに自分の持てる力をしっかり出せるように日々準備しておくのは大事だと思います。
そのためには、なにより腐らないこと。腐らずに前を向いて「いつか見返すぞ!」「やってやるぞ!」という気持ちで続けていれば、いつか誰かの目に留まるんじゃないかなと思いますね。
――落ち込んだり、腐りそうなときには?
白井:そういうときこそ、「You’ll never walk alone.」という言葉を思い浮かべてほしいですね。そこに至るまでも自分一人だけでやってきたわけじゃない。だからこそ、チャンスを掴もうとしたり、チャンスが巡ってきたりしたときには、今まで応援してきてくれた人、積み重ねてきたことを信じてもらいたいなと思います。
あとは、どんなことにも積極的に触れていってほしいですね。やっぱり人生のなかでのいろいろな経験が、お芝居の役に立つので。日々の中にもたくさんの発見や気付きを見つけていって、経験値をたくさん溜め込んでいってください!
――すごい、素敵な言葉です。
白井:……とまぁ、そうは言うもののぶっちゃけ「新人なんて出てこないでくれ!」とか思ってますけどね(笑)。もう本当、脅威でしかない!
――めちゃくちゃ素直。
白井:でも、それはそれでいい刺激にはなりますし、もちろん僕だってみなさんと競争する立場にいますから、負けないように僕自身も精進していきたいなと思います!
命をかけた頭脳戦が展開!
アニメ『多数欠』の見どころ
――2024年夏・秋2クール放送される『多数欠』では、第2部でセラフィエル役として出演されます。この作品の魅力を教えてください。
白井:本当にざっくり言ってしまうと、『多数欠』は「非日常の世界での生き残りゲーム」をテーマにした作品です。ただ、その登場人物たちにはそれぞれに思惑があって、そこで繰り広げられる駆け引き、推理、頭脳戦、異能バトルなど、いろいろな要素が楽しめる作品なんですね。
バトルものが好きな方にも、頭脳戦の駆け引きが好きな方にも気に入ってもらえるんじゃないかと思います。登場人物も多い作品ですが、それぞれの性格と能力がかけ合わさったりして、主人公以外にも魅力的なキャラがたくさんいるんですよ。なので、誰しも一人は刺さるキャラがいるんじゃないかな。
しかも、もう毎話展開が読めない! 二転三転、どんでん返しもあるし、見どころが多いと思いますね。しかも2クール連続放送ということで、見応えも十分。がっつり腰を据えて観てもらえる作品になっていると思います。
――確かに、毎話独特の緊張感がありますよね……! ネタバレを避けつつ、白井さんの役どころについても教えていただけますか?
白井:そうですね。セラフィエルというキャラクターは、もちろん男性役なんですが……じつは神父です。体のでかい。同じく第2部から登場する、“女王”と呼ばれる日笠陽子さん演じる如月麻里亜というキャラの、かなり近くにいる存在で、物語の中では結構重要な位置付けのキャラクターになっていると思います……と僕の口から言えるのは、ギリギリこのくらいまでかな(笑)。
――あとは本編で楽しもう、ということで!(笑) その代わりといってはなんですが、アフレコ現場での思い出とかありますか?
白井:なんだろうな。アフレコ現場は、すごく楽しかったんですよね。登場人物も多い作品なので、毎回、賑やかな感じというか。
なかでもKENNさんと日笠さんが一緒の現場になるとうるさ……(咳払い)、すごく賑やかで楽しくなるんだなって思ってました!(笑)
取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃