インタビュー

声優・小西克幸 ロングインタビュー #2

KATSUYUKI KONISHI INTERVIEW

手元にある情報から考えて「自分なりの100点」を

声優・小西克幸

――収録時のルーティンなどはありますか?

小西:原作がある作品に限ってではありますが、「原作を読みながら自分が演じるキャラクターのセリフの部分を声に出しながら読む」というのは、やるようにしています。

アニメのアフレコって、昔は、シリーズが長く続く作品が多かったのである意味ゆっくり役と向き合いキャラクターを作っていけたんです。ですが、今は1クール(12話)ものが多いのでゆっくり作ってる時間がないんですよね。ようやく役が完成したときにはすでに最終回という事態になりかねない。

だから1話目から100%以上の答えを出そうと思ったら、やっぱり事前準備がすごく大切になるんじゃないかと思うんです。

――それが「原作を声に出して読む」という事前準備につながる?

小西:そうすることによって、自分の中に担当させて頂くキャラクターの根幹的なものが出来上がる気がするんです。ですので、それをするのとしないのでは1話目でのキャラクターが全然違う。最初から自分なりの100%のキャラクターで収録に臨むことができます。そこから、監督たちに判断してもらって1人のキャラクターを作り上げていく。

原作がある作品だと、そこにたくさんのヒントがありますので、原作がある作品については、なるべく事前に全部声に出して読んでおくようにしているんです。

声優・小西克幸

――面白い……!めちゃくちゃ納得感あります。現場のディレクションで右往左往しないためにも、事前準備は大切なんですね。

小西:それもそうですし、僕の場合キャラクターがわからないと、どう言葉を発していいのかわからないんですよ。なので、原作があれば原作を読むし、台本しかなければ、それを読むことでしかキャラクターを読み解けない。

キャラクターを理解するための資料があるなら、それを読んで、とにかく考えるしかないんですよね。原作の場合はそのヒントが多くて、オリジナル作品の場合は先々の情報が少ないから現場で監督や音響監督にわからないことを聞く。

要は「今ある情報でどう自分なりの答えを提案するか」なんです。そういう意味では「プレゼン」と同じ。その提案がOKならそのまま通るし、違ったら「修正して」と言われる。

――アフレコ現場は、声優にとって「プレゼンの場」でもある。

小西:しかも、1回の収録ではテスト、ラステス、本番、と3回のチャンスしかないんです。たったそれだけの打席しかないのに、「自分なりの100点」を持って行かなかったら、何もわからないまま終わるかもしれない。

でも、間違っててもいいから答えを持っていけば「それは違うよ」と言ってもらえる。少なくとも、「自分なりの100点」を持っていかなければ現場で100点以上を出すことはできないんじゃないかと、僕は思います。

――演じ方や表現の無数の選択肢から、そうやって答えを見つけていくんですね。

小西:でも、答えは一度見つけたら終わり、というものでもないんです。現場で「そうだよ」「そうじゃないよ」と出してもらった答えを持ち帰って、また自分で考えなければいけない。

それを膨らませて、次の提案して、また答えをもらって……その繰り返しだと思います。

ざっくり例えるなら、樹がいろいろな方向にどんどん枝葉を伸ばしていく。その中で間違った方向に生えた枝を切ってもらいながら、少しずついい形の樹に育てていく。そんなイメージに近いかもしれません。

時を超えて、同じ美しい空を見た者たちの物語|
「チ。 ―地球の運動について―」オクジー

声優・小西克幸

――原作もそうですが、アニメでも多くの反響を呼んだ「チ。 ―地球の運動について―」(以下、「チ。」)では超ネガティブな代闘士・オクジーを演じられていました。まずは、作品の魅力からお伺いできますか?

薬屋のひとりごと

小西:地動説、天動説に対して、登場人物たちがあそこまで情熱をかけられるのが、まずすごい。しかもあの作品は、地動説の成功や失敗を描くのではなくて、あくまでその情熱をかけた人たちの生き死にを描いていて、どの登場人物にも凄みがあるんです。

命をかけてでも後世に残したいものがある。その信念や情熱が時代を超えて受け継がれていくという“物語の美しさ”。

同時に、完成フィルムを観たときは「空の美しさ」も感じました。

――アニメになったことで空の映像の綺麗さが、より際立っていたような気がします。

小西:当たり前ですけど、マンガはふつう白黒での表現になってしまうので、そこに色が付くことで「こんなにも見え方が変わるんだ」と思いました。それがすごく素敵でしたよね。

別の時代を生きる登場人物たちが「みんな同じ空を見ている」ということが印象的になっていましたし、それが、すごく意味のあることだという気がしました。

――オクジーの役が決まったときは、率直にどう思いましたか。

薬屋のひとりごと

小西:原作のときから大好きな作品だったので、アニメ化して「チ。」に参加できることになったときは、すごく嬉しかったですね。

とくにふだん、僕が演じるキャラクターってどちらかといえば自分を強く持っていたりするタイプが多くて、オクジーはそれと対照的で、内気でメンタルが弱くて、めちゃくちゃネガティブ(笑)。

オーディションでも「難しいかな」と思っていたんですが、演じさせていただけることになったので、それも含めて嬉しさがありました。

――オクジーを演じるにあたって、意識していたことなどはありますか?

小西:オクジーに関しては、「ああしなきゃ。こうしなきゃ」とあえて何かを意識する、ということはあまりなかったんですよね。むしろ、そもそも原作の物語が素敵で、自分の中にそのイメージが強く刷り込まれていたので、「物語とキャラクターが自然とその作品の中に引っ張り込んでくれました。

今思えば、おそらく原作を読んで自分の中で、すでに一つの答えがあったんだと思います。

それでいざ現場に入ってみると、共演する方々の素晴らしいお芝居との掛け合いも加わって、自分が思っていた以上に感情が作品の中に引き込まれていった記憶があります。

――作品の中に感情が引き込まれていく。それは声優の方にしか味わえない感覚ですね……!

小西:とくに「チ。」は、登場人物が少ない分、1対1の会話量が多いですし、「別の場面に切り替えて会話を省略する」みたいなシーンが少ない。だからこそ濃密だし、キャラクターを掘り下げられるようなヒントもたくさんある。

いろいろな言葉を投げかけられるから、その中でキャラクターが考えること、感じることは必然的に多くなるんです。

現場では、キャスト同士が掛け合いの中で受け取った言葉に感じたことを返していく……そんなやりとりが多かった気がします。

薬屋のひとりごと

取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃

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