二宮清純コラムパラリンピック 奇跡の物語
~ビヨンド・ザ・リミット~

2026年3月12日(木)更新

パラアルペンスキーの「女王」村岡桃佳
試練を乗り越え、単独通算最多メダルへ

 パラリンピックの“冬の顔”といえば、真っ先に頭に浮かぶのが、アルペンスキーの村岡桃佳選手です。ミラノ・コルティナ冬季大会のメダル第1号も村岡選手でした。アルペンスキー女子スーパー大回転(座位)で銀メダルを獲得、自身の獲得メダル数を通算10個とし、大日方邦子さんの日本勢最多通算メダル数(金2、銀3、銅5)に並びました。

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大会前に2度のケガ

 パラアルペンスキーには、立位・座位(チェアスキー)・視覚障がい(ガイドとペアで滑走)の3つのカテゴリーがあります。

 特にチェアスキーは、マシンを使用して時速100キロを超えるスピードで滑り降りるため、バランスを崩すと転倒の恐れがあります。純粋なスピードに加え、ターンコントロールの技術、体幹の強さ、ボディバランスが求められます。

 実は村岡選手、銀メダルを獲ったコルティナ・ダンペッツォと同じコースで、昨年4月に左ひじを脱臼していました。復帰後の11月には、別のコースで転倒し、左鎖骨を骨折。2月中旬に雪上に戻ってきたものの、調整の遅れが心配されていました。

 しかし、さすがは冬季パラリンピック4大会連続出場のベテランです。優勝したオードリー・パスクアル・セコ選手(スペイン)に6.32秒もの大差をつけられたことについては「正直に喜べるかというと複雑な気持ち」と本音を吐露したものの、「まずは自分を褒めてあげたい」と表情を緩めていました。

 村岡選手がパラリンピックでこれまでに獲得したメダルは、次の通りです。

 2018年平昌大会=大回転(金)
       同=滑降(銀)
       同=回転(銀)
       同=スーパー大回転(銅)
       同=スーパー複合(銅)
 2022年北京大会=滑降(金)
       同=スーパー大回転(金)
       同=大回転(金)
       同=スーパー複合(銀)
 2026年ミラノ・コルティナ大会=スーパー大回転(銀)
(3月10日現在)

森井大輝に憧れて

 村岡選手は、まだ2つの種目を残しています。さらに通算メダル数を積み増すのは確実な情勢です。

 埼玉県深谷市生まれの村岡選手は、4歳の時に横断性脊髄炎に感染し、両下肢に麻痺が残ったことにより車いす生活になりました。

 チェアスキーとの出会いは、小学生の時でした。家族と一緒に訪れたスキー場で、猛スピードで滑り降りてくる選手がいました。2002年のソルトレイクシティ大会を皮切りに、
今年のミラノ・コルティナ大会も含め7大会連続でパラリンピックに出場し、計7つのメダル(銀4、銅3)を獲得している森井大輝選手です。

「かっこいいな。あんなふうに滑られたらいいな」

 16歳年上の森井選手に憧れた村岡選手は、中学2年の時に本格的にチェアスキーを始め、高校2年時に初めてパラリンピックに出場します。

 しかし、パラリンピック初舞台のソチで、村岡選手はいきなりつまずきます。パラリンピックデビューとなるスーパー大回転で、なんと旗門不通過のミスを犯してしまったのです。

「いやぁ、やっちゃいました」
 報道陣の前で、そう言って照れ笑いを浮かべた少女は、その時、17歳でした。

 あの冬から12年が経ちました。「万全ではないが、ベストを尽くす」と語る彼女には、「女王」の風格さえ漂っています。乗り越えてきた数々の試練が、29歳の彼女に輝きを与えています。

二宮清純

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