2022.03.24
オリジナルインタビュー第23弾!
~前編~大田泰示選手・田中健二朗選手が登場!
苦難を乗り越えたベテラン2人が描く新シーズン
(取材日:2022年02月24日)
今回のオリジナルインタビューは、大田泰示選手と田中健二朗選手の2人が登場!
大田選手は、東海大付属相模高卒。右投右打。2008年ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。不調に苦しむことがありながらも、強肩強打を武器に2012年、2013年は開幕1軍入り。2016年、北海道日本ハムファイターズに移籍。右翼手として活躍。2019年には史上35人目となる全球団からの本塁打を達成。2021年シーズンは打撃不振に苦しみ、12月に横浜DeNAベイスターズと契約。新天地では、本来のダイナミックなプレーと新たな活躍に期待がかかります。
田中選手は、常葉学園菊川高卒。左投左打。2007年ドラフト1位で横浜ベイスターズ(当時)に入団。2010年に1軍公式戦デビュー。9月に1軍公式初先発初勝利。2014年、開幕1軍入り。2015年、2016年はセットアッパー、クローザーとして活躍。2019年にトミー・ジョン手術を受けて以降はリハビリに取り組み、2021年9月の阪神戦で1092日ぶりに1軍復帰。今シーズンは、気持ちよく伸びるストレートと変化球を武器に、開幕からチームの主戦力を目指します。
大田選手はプロ14年目、田中選手は15年目と、ともにベテラン。長く怪我や不調に苦しみながらも、それぞれ自分の力で苦難を乗り越えてきました。今シーズンは、きっとチームを支える底力を発揮してくれるはず。
そんな期待がかかる中、今回はキャンプで練習に励む2人を直撃。前後編の2回に分けてインタビューをお届けします。
インタビュアーは今回ももちろんこの人、ベイスターズOB荒波翔が務めます。
前編は、自身の現役時代から2人を知る荒波翔が、オフ期間やキャンプ中の課題、シーズン開幕に向けた今の状況などを直球質問!
(※本取材は2022年02月24日にリモート取材にて行われました。)
Interview Movie
実際のインタビューの模様を
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昨シーズンを振り返り
自分と向き合うオフ期間
よろしくお願いします。
さて、キャンプも終盤です。オフからキャンプまでの期間は、どんなことに取り組んできましたか?
大田選手からお願いします。
昨シーズンの成績を踏まえて、自分のバッティングを見つめ直しました。
いろいろ細かいところばかりを考え過ぎていたので、まず「シンプルに、来たボールに対して強く振る。強く弾き返す」ということを意識して、そのために何が必要かを考えました。シンプルに打撃を行うことだけを考えて、練習してきました。
自分と向き合う時間を取ったということですね。
考え過ぎて力んでしまうことが多かったので、シンプルな打撃を心がけるようになった、と。
そうですね。
田中選手はどうですか?
はい。僕の場合は、昨シーズン1軍復帰をさせてもらったのですが、登板の機会が空くことも多かったんですね。新しいシーズンはそれがないように、「強く投げる球数」というのを意識して増やすようにしました。
オフからずっと続けているということですか?
はい!そうです。
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自分のペースを意識!
キャンプ中の取り組みとは
次は現在進行形でこのキャンプで意識していること、キャンプで取り組んでいることなどを教えてください。
自主練習では、室内練習場など狭い空間での打撃練習が多かったので、ネットに当たった先の打球を見ることができませんでした。
でもキャンプに入ってからは、屋外の球場でバッティング練習をするので、「飛ばしたい」「柵越えしたい」といった欲が出てきます。そうした中で、さきほど言ったようなシンプルで強い打球、強くボールにインパクトを迎えるということを意識しています。例えば、ゴロでも内野の間を抜けてヒットになるような強い打球です。ホームランというよりは、ライナーでしっかりと強い打球。
打球の行方までは気にせずに、力の伝え方や自分のスイングで振り切ることに重きをおいて、練習に取り組んでいます。
そうなんですね!
田中選手はどうですか?意識していることや取り組んでいること。
僕は、とにかく力まないように、バランスを重視して投げることを意識しています。
でも、周りのピッチャーが速い球を投げる人ばかりなので…(笑)。それに感化されてエイヤッって投げるとバランスも崩れますし、体にも悪影響なので、そうならないように自分のバランスをしっかり保てるように取り組んでいます。
なるほど(笑)。
野球を見る機会が増加!?
キャンプ中の自由時間
お二人ともベテランの選手なので、キャンプも毎年のことで慣れたものだと思います。
定番のキャンプの過ごし方はありますか?どんな風にオフの時間などを過ごされていますか?
コロナの影響を受けて以降のキャンプは、部屋で過ごす時間が増えましたよね。なので、良いのか悪いのか分からないのですが、自分や相手ピッチャーの映像を見たり、他のチームの試合内容や試合結果を見たり、以前よりずっと野球を見る機会が多くなりました。
良い意味では、野球に集中し、野球中心の生活が送れているという感じですよね。
以前のように外食に行く時間なども取れないですし。ホテルで夕食を食べて、自分の部屋に戻ると、また野球のことを考えてっていう。
そうですね。
こういうストイックなコメントの次だと、答えづらいと思うけど(笑)、田中選手は?
僕も他球団の情報とかは見ますよ!
あとはもうひたすら、YouTubeをパトロールしてますけど…(笑)。
やっぱり(笑)
ようこそベイスターズへ!
気になるチームの印象
次は、お二人それぞれに別の質問をぶつけてみたいと思います。
まずは大田選手、ようこそDeNAベイスターズへ!もう新しい環境には慣れましたか?
はい。
僕自身はここが3チーム目で、移籍するのは2回目。年齢もちょっと上の方になってきたので、後輩というか年下の選手たちも多く、馴染みやすいです。健二朗さんだったり、伊藤光さんだったり、高卒からずっとプロとしてやってきた先輩たちとも、話しやすい雰囲気ですし、輪の中に溶け込みやすいです。
ジャイアンツから日ハムに移籍した時は、そこでブレイクを果たしました。
その時の要因の中で、これは大きかったなと思うのはどんなことですか?
ジャイアンツで8年やってきた中で、いろんなことを勉強してきました。そこから新しいチームに行く時、精神的な部分で本当に心機一転できたということと、新しい野球観に出会えたこと。この2つが大きいと思います。監督も違えばコーチも違うし、選手、仲間たちが全部違って、新しい情報がたくさん入ってきて、どんどん新しいことに取り組んで。自分の中では、それがすごくしっくり来たというのはあります。
気持ち良いストレート!
投げる時のイメージは?
それでは次は田中選手への質問です。復帰戦(2021年9月12日、阪神戦)でも見ることができましたが、田中選手の持ち味といえば、アウトコースにあとを引くような気持ち良いくらいの真っ直ぐや、落差のある変化球です。どうしたらああいう球が投げられるのでしょうか。どんなことをイメージして投げているのか気になります。コツはあるのですか?
ストレートに関しては、ミットを構えてもらって、そこから糸を引いてみるイメージですね。
自分の側から糸を引いているイメージ?
はい。自分のリリースに糸が引っ張られている、というようなイメージです。
変化球の場合、特にカーブではそこに向けて「投げる」というよりも、そこにボールを「出す」という感覚でずっとやっていますね。
よく言われるような、力を抜く感覚ではないということ?
そうですね。抜くというよりも、“かける”っていう感じですかね。
なるほど。ひっかける感じというか。
はい。左バッターの顔くらいの位置にリリースしていくっていうのをイメージすると、ちょうどストライクゾーンに、という感じです。
その投げ方は高校時代から?
プロに入ってからですね。1年目、ちょこっと投げ出すようになってから。
そのスタイルになってから、球のキレや質が変わってきた?
そうですね。そこから相手バッターと勝負できるようになりましたし、自分の持ち味というものを持てるようになったと思います。
間もなくシーズン開幕!
アピールポイントは?
さて、すでにオープン戦も始まっていますが、ここからは開幕に向けての準備が本格化していきますね。それぞれどのようにアピールしていくのかビジョンを伺いたいと思います。
大田選手は、外野手としてのポジション争いが激しくなってくるはずです。
そうですね。1番良いのはたくさん打ってアピールすることではあるんですけど、その中でも自分のプレースタイル、自分の色を出していければな、と思います。
外野手には、クワ(桑原将志選手)や、オースティン(タイラー・オースティン選手)、今は怪我をしていますけど佐野(恵太選手)、他にも良い選手がたくさんいるんですよね。クワにはクワの、オースティンにはオースティンの良いところがあるように、僕には僕の良さがあると思うので、自分の良さを出していきたいです。具体的にはチーム打撃をする、進塁打をする、そういう中に長打を織り交ぜながら積極的なアピールができればいいな、と。
なので、あんまり他の選手をライバルとして捉えすぎないように。過去にはそれで苦しんだ時期もあったので…。自分のやれることを目一杯やって、毎日を充実させたいと思っています。
さきほどから言われている「シンプルに自分の持てるものを出していこう」という感じですね。自分にできることを、過剰に力むことなくやっていく。
はい。そうですね。
大田選手は長打も打てるし、盗塁もできる選手なので期待は大きいと思います。ベイスターズは盗塁数が少ない傾向にあるので、なおさら。僕個人としても注目しています。
ありがとうございます。
田中選手はどのようにビジョンを描いていますか?
はい。シーズン中はやっぱり、左バッターと対戦することが多くなると思うので、まずは左バッターをしっかり抑えていくっていうことですね。そして1イニングを少ない球数でしっかり終われるように。この2つを意識してやっていきたいと思います。
先発へのこだわりは?
いやぁ…球数はもう、そんなに投げられないので(笑)。
そうなんだ(笑)。
良い先発ピッチャーは他にもいるので。
確かにね。じゃあ先発はお任せして、田中選手らしくしっかりやっていくっていう感じですかね。
手術した肘や故障の影響はもう大丈夫なんですか?
手術した部分は問題ないです。強い張りが出たりすることもあるのですが、それくらいは当然のことだと思うので。うまく付き合いながらやってます。
配球が違う?打者が○○?
パ・リーグの特徴
話はすこし変わりますが、大田選手はセ・リーグとパ・リーグを両方経験していますよね。違いを感じることってありましたか?
振り返ってみると、あんまり変わらない気がします。
僕は、例えば交流戦などでパ・リーグのチームと試合をした時に、配球の違いを感じました。セ・リーグは変化球がけっこう多いですけど、パ・リーグはそこまででもないかなって。その辺りはどうですか?
そうですね。カウントでストレートを使うか、変化球を使うことが多いのか、という差は確かにあるかもしれません。ただ、今はセ・リーグにも速い球を投げる良いピッチャーも多いのと、僕自身への配球という意味で考えると、あまり変わらないという印象です。
なるほど。
ただ、強いて違いをあげるなら、パ・リーグの方が荒々しく振るバッターが多いかな?と思います(笑)。
あぁ!豪快な感じですね。
そうです。身長が小さい選手だと、ちょこちょこと安打を狙いにいくイメージがありますが、豪快に振っている選手が多い印象です。中にはしっかり捉えてスタンドまで運ぶ選手もいますし、チームの特色にもよりますがパ・リーグにはそういう豪快さがある気がします。
©YDB
次回のインタビューは、大田泰示選手・田中健二朗選手の後編をお届けします。お楽しみに!
田中選手とは、現役時代も一緒でしたし今年の1月にも会う機会がありましたが、大田選手とこうしてお話しするのは初めてですね。今日はいろいろ聞いていきたいと思うので、よろしくお願いします。