2021.12.14
オリジナルインタビュー第21弾!
~前編~今永昇太選手・東克樹選手が登場!
左腕、怪我、手術を乗り越え完全復帰!共通点の多い二人が語る今
(取材日:2021年11月22日)
今回のオリジナルインタビューは、今永昇太投手と東克樹投手の左投手コンビが登場!
今永投手は、北築高−駒大を経て2015年ドラフト1位で入団。伸びのあるストレートが武器のプロ6年目。プロ入り1年目の2016年から先発ローテ入り。2017年には2ケタ勝利(11勝)を記録。2018年、左肩痛を発症し不調のシーズンを過ごしたものの、2019年には復調。自己最多13勝を記録。2020年に左肩のクリーニング手術を受け、今シーズン5月に一軍復帰登板。6月に309日ぶりの勝利を収め、5勝5敗、防御率3.08と着実な復活の兆しをファンに見せてくれました。
東投手は、愛知工業大学名電高−立命館大を経て2017年ドラフト1位で入団。プロ1年目の2018年、4月の巨人戦でプロ初勝利を挙げたのを皮切りに、完封勝利を収めるなど勝ち星を重ね、2ケタ勝利(11勝)を記録。その年の新人賞に選出。2019年、左肘の炎症再発で不調をきたし、2020年に内側側副靭帯損傷が判明しため、トミー・ジョン手術を受けることを決意。今シーズンは、地道なリハビリが実り7月に実戦復帰。10月に729日ぶりの白星を収めました。
ともに左投手。ともに怪我に泣き、大きな手術を乗りこえて、見事今シーズンに復帰を果たした二人。不思議と共通点の多い今永投手と東投手を直撃。前後編の2回に分けてインタビューをお届けします。
インタビュアーは今回ももちろんこの人、ベイスターズOB荒波翔が務めます。
前編では、気になる肘や肩の状態など、荒波翔が気になっているあれこれを直球質問!
(※本取材は2021年11月22日にリモート取材にて行われました。)
Interview Movie
実際のインタビューの模様を
動画でもお届け!
シーズンを戦い抜いた
現在のコンディション
よろしくお願いします。
ベイスターズは昨日(11月21日)、秋季練習の手締めをしたということで、ひとまず今シーズンが終わりましたね。お疲れ様でした。お二人にとっては、肩や肘の問題を抱えながらのシーズンだったと思いますが、今の状態はどうでしょうか?
そうですね。日に日に肩のコンディションも良くなってきていて、来シーズンはしっかりと万全で行ける状態です。
シーズン中は、問題があるとは思わせないくらいの投球を見せてくれていましたけど、まだ少し体にギャップというか気になるところがありますか?
体の部分で気になるところはないです。
ただ、フォームや変化球などの細かいところで少し納得できていない部分があったんです。その辺りの課題をシーズンオフから体に馴染ませていって、一切不安のない状態で来シーズンを迎えたいと思っています。
なるほど。
東投手の肘の状態はどうですか?
肘の状態は、本当に何も問題なく。術前の良い時と変わらない状態です。
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プリプリのお尻に期待!?
秋季練習の課題
さきほど今永投手の方からも課題という言葉が出ましたが、秋季練習のテーマや課題を教えてください。
投げ込みをするというよりは下半身、特にお尻まわりのトレーニングを重点的に取り組みました。やっぱりパワーを出すためにはお尻の力が必要なので。
それじゃあ、来シーズンは一回り大きくなったお尻を見られるということですね(笑)?
そうですね、プリプリの(笑)。頑張りたいと思います。
今永投手はどうですか?
練習メニューに関しては一任していただいて、この時期にしかできないトレーニングをしようと決めていました。主な課題はランニングの量をしっかり増やすことですね。シーズン中には10本、20だったところを、たくさん走り込みました。それで、肩のコンディショニングだったり、体幹も同時に鍛えられるので。ウエイトをガシガシやるというより、しっかり走り込んで股関節や胸まわりをほぐしていった感じですね。
走り込みに関しては賛否両論ありますが、今永投手にとってはパフォーマンスが上がるトレーニング方法なんですね?
そうですね。年齢を重ねるとどうしても難しくなってしまうトレーニング方法なので、まだ28歳ですし、走れる時に走り込んでおきたいという気持ちがあります。他のトレーニングに関しては正直、この先でもいろんなことをできる余地があるので。走ることに関しては、今のうちからやる癖をつけておくのが大事だと思っています。
ということは、今永投手よりも若い東投手は、その倍くらい走っているということになりますかね(笑)。
そ、そういうことですね、はい(笑)。
(笑)。
復帰戦で湧き上がった
それぞれの熱い思い
それでは次に、シーズン全体を振り返っていただきたいと思います。
お二人は今シーズン、ファンが待ち望んでいた復帰を果たしましたね。
今永投手は5勝5敗という成績ではありますが、やはりエースだというところを随所で見せつけてくれました。勝ちに繋がらなかった試合でも我慢強く投げている姿も目にしましたし、エースであることを再認識させてもらったシーズンだったと思うのですが、ご自身としてはどうでしょうか?
5勝5敗という数字に関してはもちろん納得していません。19試合で先発して5勝しかしていないですし、その中でチームに勝ちがついた試合も多くはないので。自分に勝ちがつかなくとも、最終的にチームが勝つ投球を目指していかなければいけない立場にあると思っています。チーム1番のピッチャーと呼ばれるには到底はやいです。
来シーズンは、自分の投げた試合で最終的にチームがどうだったのかというところに重きをおいて、自分の数字だけではなく、チームの数字も気にしながらやらなければと思っています。
神宮の復帰戦(5月23日・対ヤクルト戦)は特に注目して見ていたのですが、いきなり出た復帰戦だったということもあって、やはりいつもとはちょっと違う心境だったのでしょうか。
そうですね。ブルペンで準備をしている段階で、ファームの試合で投げている時の自分の体とは何かが違う感じがありました。打たれた、打たれていないということよりも、環境が変わってしまったことで自分らしいパフォーマンスができず、悔いが残る試合になってしまいました。
こういう経験はこれからもしていくことになるとは思うんですけど、たとえ環境が変わっても、どれだけ大事な試合でも、いつもと変わらずに自分のパフォーマンスが出せる訓練をしていかなければいけないと感じています。
ありがとうございました。
それでは東投手にも振り返っていただきたいと思います。トミー・ジョン手術を受けるような怪我というのは、投手にとってはかなり大きな怪我を負ったということ。ファームでの復帰戦が平塚球場での試合(7月11日・対ロッテ戦)でしたが、登板した時に印象に残ったことはどんなことですか?
ファンの方々が大きな拍手をくださったことです。久しぶりの感覚を味わうことができ、すごく印象的でした。
1軍と2軍の試合とでまた違うものだとは思いますが、マウンドに立った時の気持ちはどうでしたか?
単純に嬉しかったのか、それとも「やっと投げられるな」というホッとした気持ちだったのか。どういう感情が先に湧いてきましたか?
やっぱり嬉しい気持ちが1番大きかったと思います。相手バッターとの勝負、駆け引きを楽しむことを大事に考えているので、ようやくそれが実戦で味わえるというのを噛み締めながらマウンドに上がりました。
1軍での792日ぶりの勝利(10月23日・対中日戦)はどうでしたか?今までの辛かったことなど、いろんな感情が押し寄せてきたのでは?
辛かった…というか、「長かった」という感じですかね。
手術をして、地道なリハビリの日々が続いて、それでも心折れずにしっかり頑張ってこられたのは今永さんの存在も大きいです。
手術を経験した二人、
術後にどう変わった?
本当にそうですね。東投手が語ってくれたように、お二人は手術を経験した投手同士でもあります。手術をすることによって、前の自分とは変わってしまうこともありますよね。もし、手術前と後とで、何か変化があれば教えてください。今永投手はどうですか?
そうですね。手術っていうのは、選手として絶対にしないに越したことはないのは間違いないです。でも、だからといって悪いことばかりではなく、個人的なことで言えば僕の場合、例えば自分の体をより知ろうと思うきっかけになりました。肩の構造にはじまり体全体の構造、どういうトレーニングをすれば良いのかということに、いっそう興味が湧くようになりました。
また、手術を経験して、僕たちが何かに取り組む時には僕らの想像している2倍から3倍の人たちが見えないところで動いてくださっている、ということを身を持って実感できました。だから、与えられたものに対して、文句だとか不平不満だとかは、思うことすらなくなりましたね。
こんな素晴らしいコメントの後になかなか言いづらいと思いますが(笑)、東投手はどうですか?
手術を経験して感じたことや気づいたこと、学んだことなどを教えてください。
僕は体のことや食事のこと、睡眠のことなど、野球以外の基本的なことを見直す良い時間になったのかなと思っています。口にするものひとつで体の状態が変わることを、この期間で実感しました。
同じ手術をした田中健二朗投手のインタビュー記事を読んだのですが、お互い同じ状況で支え合っていたそうですね。
はい。毎日ロッカーで顔を合わせた時に、お互いの今の肘の状態を確認し合っていました。トレーニングや治療の情報なども教えてくださったりすることもあって、すごく支えられました。
知識の引き出し豊富!
仁志監督ってこんな人
怪我もあったので、お二人は2軍での生活も経験しました。今シーズンからは仁志敏久監督が就任しましたが、ズバリお二人の監督に対する印象は?
仁志監督は、いろいろな方面からアドバイスやアプローチをしてくださる引き出しの多い監督です。監督自身、すごく研究熱心な方なので、いろんな研究結果や事例を出して「こんな選手がいた」「この選手がこうなった」というような具体的なアドバイスをしてくださるんです。選手自身も野球以外の分野に興味を持ったり、さまざまな方法があるというひらめきが生まれます。いろんなヒントをくださる方ですね。
なんか今永投手とすごく話が合いそうな感じですよね?
そうですね。仁志監督の話がきっかけで脳に興味を持って、今YouTubeを見ながら僕も勉強しているところです。先月は仁志監督から「この本読んだ方が良いよ」と脳の本をいただいて。オフシーズンに読みたいと思っているところです。
東投手はどうですか?
はい。僕が言いたかったことは今、今永投手が全部言ってくださったので、もう何もいうことはないです(笑)。
いろんな経験をされている方ですし、いろんな例を出して教えてくださるんですね。
そうですね。
選手名をズバリ告白!
苦手なバッターは誰?
それでは次の質問です。お二人にとって嫌なバッターとはどんなバッターですか?
具体的な選手名でも良いですし、対戦していく中でホームランを打つバッターもいれば、出塁するバッターもいます。お二人それぞれの苦手なタイプの打者にすごく興味があります。
具体的な選手名をあげるとしたら、僕は中日ドラゴンズのダヤン・ビシエド選手ですね。変化球でもついてきますし、僕のイメージの中ではなんというか、まっすぐでも差し込んでも、顔はレフト方向を向いてるのに打球はライト方向…みたいな。
いわゆる“あっち向いてホイ”ですよね。
はい。それがすごく苦手ですね。
今永投手はどうですか?
ズバリ面で打つバッターです。線でなくて面で球をとらえて飛ばすバッター。僕自身、空振りのイメージが取れないですし、ゆるい球の方がそういうバッターは上手かったりもするので。面で打つバッターが僕はやっかいですね。
どんな球でもコンタクトしてくるタイプですね。球数も増えてしまいますしね。
はい。うちのチームで言えば佐野恵太選手の逆方向のような。ピッチャーからすればもう、ああいう打撃をされると、シングルヒットくらいならオッケーという気持ちで投げてますね。
©YDB
次回のインタビューは、今永昇太選手・東克樹選手の後編をお届けします。お楽しみに!
今日はよろしくお願いします。