堤真一×戸田恵梨香 スペシャルインタビュー
堤真一演じる“the God of risk(リスクの神様)”と呼ばれる
伝説の男・西行寺智と、
彼が室長を務める危機対策室で働くことになる
戸田恵梨香演じる神狩かおりを中心に、
個性あふれる面々がさまざまなトラブルに巻き込まれた
企業や個人、家族を救う姿を描く今作。
トラブルに対応していく骨太なこの社会派ドラマで、
ドラマ初共演となる堤と戸田の
作品への意気込みをお届けします。
「今回はセリフの量が大変です(笑)」(堤)
──お二人は舞台「寿歌(ほぎうた)」や映画「駆込み女と駆込み男」などで共演されていますが、ドラマでの共演は意外にも初めてだそうですね。
- 堤
- 映画では同じシーンはなく、本読みの時に久しぶりに会ったんですがしっかり役を捉えているな、すごいなと思って。実際、出来上がりを観たらすごく良かった。
- 戸田
- ありがとうございます。
- 堤
- 舞台の時、最初の頃はまだおとなしめだったけど、今は頼もしいなあって。だから、今回は彼女におんぶに抱っこでいこうかなと(笑)。
- 戸田
- (笑)。舞台の時は一応夫婦という設定でしたけど、そこから今回はこういう関係性の役になって。それはこの世界では当たり前なことですけど何か不思議な感じですし、自分のことを知っている親戚の人に改めて見られる感覚があって恥ずかしいですね(笑)。堤さんはいろんなものを俯瞰して見てくれているのですごく安心感があって。堤さんの芝居を見て、共演者の皆さんがどういうお芝居をするのか楽しみです。
──今回の役で難しいと感じているところ、演じる上で気を付けているところは?
- 堤
- 僕ら関西出身の能天気な二人組が頭のいい役をやっているんですよ(笑)。このギャップがね。
- 戸田
- すごいですよね(笑)。一番頭が切れる役ですから。
- 堤
- そして何よりもセリフの量が…説明ゼリフが多くて(笑)。そういうのってあまりやっていなかったし、覚えるというのもこの年になるときつくて(笑)。共演者の方には申し訳ないですが、すんなり撮影が進むとは思わないでくれと今のうちに言っておきます(笑)。
- 戸田
- (笑)。西行寺さんとの関係や他の人との関係性もまだ見えていないところがあるので、その距離感を気にしているのと……。あとは役柄的にも大人な世界に入り込んだ感じがするので、自分の精神年齢とそこのすり合わせができるようにと意識はしています。
──共演者も芝居巧者な方ばかりがそろいましたね。
- 堤
- クセ者ばっかりですよ(笑)。腕はあるし経験も豊富だし、こういうキャストの中で芝居ができるのはホントに幸せです。とにかく何をしてくるか分からない連中がいるから、なるべく芝居では影響を受けないようにしなきゃと(笑)。
- 戸田
- すごい楽しみです。中でも古田(新太)さんが一番怪しいですよね。
- 堤
- 俺が一番気にしているのは吉田剛太郎さん。何をしてくるか分からんぞ~(笑)。
「題材もリアルで、社会の怖さを知る作品です」(戸田)
──ちなみに、タイトルにかけてお互いを「○○の神様」と言うなら、どんな言葉が入りますか?
- 堤
- 彼女は「笑い声の神様」ですね。
- 戸田
- (笑)。
- 堤
- どんなにシリアスな芝居をしていても、始まる前にしゃべっていてゲラゲラ笑うんです。それがもう無防備極まりない笑い方で。それがホッとするんですよね。
- 戸田
- 私もちょっと重なっちゃうかもしれないんですけど、堤さんは「笑顔の神様」だなって。現場に笑顔を与えてくださる方ですし、やっぱり堤さんの空気感って、ホッと安心できるところがるんです。
──それぞれ役を演じる上で“ここだけはぶれずにしておきたい”という根底の部分などはありますか?
- 堤
- 僕はこの作品はかおりが成長していく姿を追う部分が大きいと思うし、僕の役はぶれない役なので、そういう意味では芝居も全体的に感情的にならないようにしたいと思っています。僕だったら胸ぐらをつかみそうな状況でも、西行寺の場合はなるべく淡々と、相手を説得する形をとらないといけないので。自分の感情に左右されないようにはしたいなと思いますね。
- 戸田
- かおりは揺れがない人だと思っていたんです。ただプライドの高さと弱さのバランスが難しいなって。そんな中で彼女は“上にのし上がってやるんだ”という信念は常に持ち続けていようとしている、そんなことを思いつつ演じていきたいと思っています。
──今回の作品は昨今ニュースなどでも言われている「危機管理」がテーマとなっていて、かなり硬派で見応えある作品になりそうですね。
- 戸田
- 毎回出てくる題材もリアルですし、社会の怖さを知る作品ですね。この作品を通して視聴者の皆さんが“本当に守りたいものは何なのか?”と考えさせられる社会派の作品になっているので。改めて考える、そのヒントになっていけばいいのかなと思いますね。
- 堤
- “正義とは何ぞや?”と考えさせられることもある骨太な作品になると思うし、社会に出ている人にとって切実でリアルな部分も描かれているので、そこを楽しんでいただければ。最低限のことしか守っていくことしかできなかったとか、あくまで現実的な視線でトラブルを解決していく大人の西行寺と行動する中で、かおりが自分なりの道を見つけて成長していく、という流れが出てくれば面白いなと思いますね。
撮影:松井伴実
取材・文:斉藤俊彦