写真:二宮清純
二宮清純コラム銀盤のカーテンコール
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2025年8月4日(月)更新

樋口新葉、今シーズン限りで引退
「1つ1つが最後」と集大成誓う

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 2022年北京冬季五輪女子フィギュアスケートシングル5位入賞、団体戦銀メダリストの樋口新葉(ノエビア)選手が6月27日、2025-26年シーズン限りでの、現役引退を発表しました。引退表明と同時に新ショートプログラム(SP)の「My Way」に込めた思いも語りました。

「気を引き締めて滑る」

 樋口選手は全種類の3回転ジャンプを跳べる万能型のスケーターです。コンビネーションではジュニア時代に、高難度の3回転ルッツ+3回転トウループを成功させていました。また北京冬季五輪の団体戦SPでは、手堅い演技で74.73点を記録、日本の団体戦銀メダルに貢献しました。個人戦では史上5人目のトリプルアクセルを五輪の舞台で成功させ、5位入賞を果たしました。

 北京冬季五輪後、右すねの疲労骨折が判明し、2022-23年シーズンは休養しました。その影響で23-24年シーズンはやや精彩を欠きましたが、24-25年シーズンはグランプリ(GP)シリーズ第1戦のアメリカ大会で優勝し、ファイナル進出を果たしました。今年3月、米ボストンで行なわれた世界選手権では6位と健闘しました。

 その樋口選手、2026年2月に開幕するミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪を直前に控えた今シーズン(2025-26年)限りで現役引退することを明らかにしました。

「目標は五輪出場ですが、それ以外の試合も1つ1つが最後。気を引き締めて滑りたいと思います」

 引退発言が飛び出したのは6月27日、KOSÉ新横浜スケートセンターで開催された「ドリーム・オン・アイス2025」後の記者会見です。

 樋口選手はドリーム・オン・アイスで「My Way」を披露しました。純白の衣装に身を包み、氷上を舞いました。冒頭のダブルアクセルを綺麗に成功させると、続く3回転ルッツ+2回転トウループのコンビネーションジャンプ、単独の3回転フリップもミスなく着氷しました。

地元での全日本選手権

「壮大な曲をSPに選んだのは初めて」

 樋口選手はこう語り、続けました。

「選曲で迷っていたところに、ジェフ(ジェフリー・バトルさん、振付師)が“僕が引退する時に使いたかった曲なんだ”とMy Wayを教えてくれました。それまで、他の曲ではしっくりこなかったのですが、提案してくれたこの曲はすごくしっくりきて“踊りやすそうだな”と思った。最後のシーズン、締めくくりにちょうどいいプログラムになると思い、この曲を選びました」

 さて、樋口選手が出場を目指すミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪男女シングル3枠の代表選考基準は、以下の通りです。

①全日本選手権(12月18日開幕 東京・国立代々木競技場)の優勝者を最優先で選出。
②残りの2枠は、全日本2位と3位、GPファイナル(12月4日開幕 愛知・IGアリーナ)の上位2人、五輪シーズンのベストスコア上位3人などから総合的に判断して選出。

 ちなみに東京都出身の樋口選手の練習拠点は、都内の明治神宮外苑アイススケート場です。

「今シーズンが最後と決めていたタイミングで、全日本選手権が東京開催と聞き、すごく嬉しかった。地元でもあるし、いつも練習しているリンクから近いので、落ち着いていつも通り滑れると思います。楽しみにしています」

 悔いのないパフォーマンスを期待したいものです。

二宮清純

二宮清純 スポーツジャーナリスト

1960年、愛媛県生まれ。
スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグ、ボクシングなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」など著書多数。

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