2023年4月17日(月)更新
主役に躍り出た“りくりゅう”
国別対抗戦、高得点で銅に貢献
宇野昌磨が出場辞退
この大会は、世界スケート連盟(ISU)規定にもとづいた大会でのポイント上位6カ国による団体戦です。今回の参加国は日本、米国、カナダ、韓国、イタリア、フランスでした。
出場選手の枠は、男子シングル各国2名ずつの計12名、女子シングルも男子同様各国2名ずつ計12名、ペアは各国1組ずつ、アイスダンスも各国1組ずつ。4種目の合計点で順位を決定します(男女のシングルは1位=12点、2位=11点、3位=10点――最下位=1点。ペアとアイスダンスは1組ずつの出場のため、1位=12点――最下位=7点となります)。
団体戦のため自国の選手同士が互いに応援し合う姿が見られるのが、通常の競技会とは異なる点です。
日本は昨年の北京冬季五輪男子シングルで銅メダルを獲得した宇野選手、同五輪女子シングル銅メダリストの坂本花織選手らを中心に、金メダルを目標に掲げて参戦しましたが、宇野選手の右足首のじん帯と軟骨の損傷による出場辞退が大きな痛手となりました。
そんな中、日本の最大の得点源として期待されたのがりくりゅうです。このペアは2022-23年シーズン、主要国際大会3冠(グランプリファイナル、4大陸選手権、世界選手権)の年間グランドスラムを達成するなど、素晴らしい活躍を見せました。
ふたりは「ベストの演技を」(木原選手)「みんな(日本代表)の力になりたいという思いが一番強い」(三浦選手)と意気込んで本番に臨みました。大会2日目(14日)。ペアのショートプログラム(SP)では「You’ll Never Walk Alone」の曲に乗り、得意のリフト技はもちろん、スピン、ステップ、デススパイラルでも最高評価の「レベル4」を記録するなど圧巻の演技を披露しました。得点は80.72。自己ベストまで0.25点差に迫る出来で、ペア2位につけました。
「僕たちがいるから大丈夫」
SPの演技後、木原選手は笑顔で「リンクサイドで(日本代表選手たちが)すごく応援してくれて、本当に団体戦っていいなと思えました」と語った後、表情を引き締めてこう続けました。
「僕たちがいるから(日本は)大丈夫、と思ってもらえるようにフリーでも良い滑りができたらなと思います」
参考までに国別対抗戦における歴代日本ペアの成績を見てみましょう。(2015年大会よりSPとフリーで得点が分けられました)
2009年 高橋成美/マーヴィン・トラン 6位、最下位
2011年 東日本大震災の影響のため大会中止
2012年 高橋成美/マーヴィン・トラン 6組中3位
2013年 日本ペア、参加見送り
2015年 古賀亜美/フランシス・ブードロー=オデ 6位、最下位
2017年 須藤澄玲/フランシス・ブードロー=オデ 6位、最下位
2019年 三浦璃来/市橋翔哉 6位、最下位
2021年 りくりゅう SP、フリーともに6組中3位
2012年の高橋成美選手/マーヴィン・トラン選手ペア、2021年に出場したりくりゅう以外のペアは最下位に終わっているのです。
迎えた大会3日目(15日)のペアフリーの曲は「Atlas:Two」。序盤、トウループからの3連続ジャンプで三浦選手が着氷時につまずいたものの、大きな失敗はこれ1つ。SP同様、リフト技、スピンなどは最高評価のレベル4を獲得。この3月の世界選手権で転倒したスロー3ループも難なく着氷を決めました。
得点は143.69。世界選手権で記録した141.44点を上回る、フリー自己ベストを更新しました。シーズン最後の公式戦で自己ベストを叩き出し、SPに続き、フリーも2位に。日本に貴重な22ポイントをもたらしたのです。これまで、ともするとペアは国別対抗戦の脇役といったイメージがありましたが、見事主役に躍り出たりくりゅうでした。
二宮清純