2019/03/25
現代社会で希薄になりつつある人々の温かい繋がりが、観る者の心を癒やすヒーリングストーリー。韓国では右肩上がりの視聴率で全てのチャンネルで同時間帯1位を記録した感動の話題作が、CSベーシック初登場。
熱演が光る主演二人、イ・ソンギュンとIU(アイユー)のスペシャルインタビュー!
ソンギュン:僕が演じたパク・ドンフンの職業は構造エンジニアです。安定や平穏を好むタイプで、真面目で、どこか哀愁のある役どころです。
IU:イ・ジアンは不遇な環境で育ってきたため世の中に絶望していて人を信じることができません。まだ若いのに周りと壁を作ることで自分を守ろうとしているキャラクターです。
ソンギュン:僕たちよりも監督のほうがプレッシャーを感じていたと思います。出演を決めた理由は以前からキム・ウォンソク監督とご一緒したいと思っていたからです。そんな監督からオファーをいただき光栄でしたし撮影も楽しかったです。
IU:監督とは比べ物になりませんが、私も“ドラマを作る側の一員として足を引っ張らないようにしなくては”というプレッシャーはありました。
ソンギュン:撮影中、常に感じていました。共演者の皆さんと息の合った演技をできたことも思い出深いし僕たちが望んだとおり、いい作品に仕上げられたことも幸せに思います。
IU:私は「マイ・ディア・ミスター」がテレビで放送されているのを見て、うれしかったですし、やりがいを感じたので、改めてこの作品に出演できてよかったと思いました。
IU:ソンギュンさんに頼りきりでしたが、撮影が進むにつれてソンギュンさんがドンフンにしか見えなくなっていきました。そのため台本を読んだ時はどう演じていいか分からなかった難しいシーンもドンフンを前にすると、まるでスイッチが入ったようにジアンになりきることができました。頭の中で“こう演じよう”と考えることもなく心が感じるまま演じられたのは相手役がソンギュンさんだったからです。
ソンギュン:僕も相手がIUさんだったおかげで、かなり助けられました。ドンフンとジアンは育った環境も年齢も全く違いますが人に気持ちを伝えるのが苦手という共通点を持っています。更に2人とも世の中や自分自身に嫌気が差し、生きづらさを感じていましたが互いに共感し合うようになります。それを描くまでの過程の中で相乗効果が発揮できたと思います。またIUさんはとてもすばらしい役者です。ジアンのイメージを壊さないように並々ならぬ努力をしている姿を見て僕も勉強になりました。
ソンギュン:撮影初日は会社のシーンでした。IUさんは僕たちから離れた席で1人、スタンバイしていましたがドンフンは部下たちと親しい設定なので僕も待機中、積極的に部下役の方たちとコミュニケーションを取りました。役作りのためピリピリした空気を作ったり周りに気を使わせたりすることなく撮影に臨むことができたのは全て監督や共演者への信頼があったからこそです。ドラマは全員が一丸となり作り上げるものです。周りの方たちがいい環境を作ってくれたおかげで僕も気を張ることなく演技に没頭できました。
IU:後半になるにつれてジョンヒや近所の仲間達、それから安全診断3チームの人たちと親しくなっていきます。ジアンが今までの孤独を埋めていくようで私もうれしく感じました。ドンフン、サンフン、ギフンの三兄弟は、つきあってると誤解されるほど仲がよかったですね。
ソンギュン:そんな誤解はされてませんよ(笑)。
ソンギュン:演技の息はぴったりでした。3人の役者の個性がバラバラだったことが、かえっていい相乗効果を生んだようです。脚本で描かれていた三兄弟はあまりに独特だったので、ちぐはぐな雰囲気になるのではないかと心配でしたが演じてみると不思議とうまくマッチしていました。そして母親のヨスンとのシーンは胸が熱くなることが多く、亡くなった僕の母を思い出すほどでした。
IU:ソン・スクさんとは手話を習いに行った時に初めてお会いしました。“優雅”という表現がこれほど似合う人はいないと思うほど美しい方です。しかし、いざ撮影日を迎えると第一印象とは全く別人の貧しくてみすぼらしいボンエが目の前にいました。現場でソン・スクさんがいつも優しく抱き締めてくださり本当の孫になったような錯覚に陥っていたのでボンエが亡くなるシーンは胸が苦しくてたまりませんでした。ソン・スクさんと同じ空間にいるとボンエとジアン2人だけの世界に引き込まれ、役になりきることができたので本当に感謝しています。
ソンギュン:大変だったことは特にありません。そんなに大それたことは言えませんが主演として現場の雰囲気を盛り上げるのは僕の役目だと思ったので、皆さんがリラックスして演じられるようムード作りを心掛けました。
ソンギュン:もちろん感じましたよ。ジアンとドンフンが自分の気持ちを押し殺すタイプだということは分かっていましたが僕が思っていた以上に “もっと感情を抑えろ”と監督から注文が入り、当初は窮屈さを感じるほどでした。しかし物語が進むにつれ最初のドンフンの設定は正解だったと納得できキム監督が“最高の指揮者”と言われるゆえんはこういうことかと感心させられました。
IU:難しい質問ですね。私はそんなふうに思いませんでした。ソンギュンさんはどんな時、もどかしさを感じましたか?
ソンギュン:“僕ならドンフンと同じことはしないな”と思うことが多かったです。
IU:私は妻の裏切りを知ったのに知らないフリをしようとした時が、もどかしかったです。ドンフンらしい行動だとは思うけど公衆電話を撤去して妻の浮気の証拠を隠滅したことは理解できません。
ソンギュン:僕はその気持ち、分かる気がするな。ドンフンと同じことはできませんが家庭を守りたいという気持ちは理解できます。
IU:私はそのシーンで、もどかしさを感じました
IU:重要な意味があるシーンだったと思います。ジアン1人の食事はまさに生存のためです。ドンフンとジアンの食事やドンフンが兄弟と囲む食卓。そしてドンフンとユニの食事。それぞれ温度差があります。食べるということは、いわば人生です。しかたなく生きること。人間らしく生活すること。人生を生きること。“生きる”という言葉の中にもいろいろな意味があります。このドラマでは“食”というものを断片的に見せることで生きるとは何かを描いているのではないでしょうか。
ソンギュン:ただ食事をするのではなく会話を交わしたり悩みを打ち明けたりすることで、喜びや悲しみを分かち合い共有できるという意味深い行為を表現したシーンだと思います。
ソンギュン:ジアンの第一印象は“捨てられた子猫”でした。相手を寄せつけず殻に閉じこもるジアンから大きな傷を感じるようになります。一種の同情とも言えますがドンフンにとっては、ほうっておけない存在だったのでしょう。
IU:日の光というよりも月の光だと思います。
ソンギュン: 僕にとって“何てことない”というセリフは人生に行き詰まった時、自分自身に言い聞かせることで前に進むことができる言葉になりました。僕たちは皆、世間の荒波にもまれながら少なからず妥協して生きています。いつしか忘れかけていた理想の大人像を思い出させてくれるドラマなので、ドンフンと同世代である僕の友人たちからもとても評判がいいです。それから近所の仲間達である“後渓メンバー”も大人気です。傷ついた時、そっと慰め合うことのできる友情に共感できると言われました。ここまで友人から反響がある作品は初めてで、中にはドラマを見たあと今にも泣き出しそうな声で電話してきた高校の同級生もいたほどです。
IU:ジアンが後渓メンバーに“今よりつらくないから早くその年になりたい”と言うセリフがあります。もちろん間違っているのですがジアンがどういう気持ちで言ったのか私には分かるんです。ユラも同じようなことを、よく後渓メンバーに言うのですが私は共感できました。
ソンギュン:監督の話ばかりしましたが脚本家の先生も才能にあふれた方です。パク・ヘヨン先生の執筆力には圧倒されます。
IU:私が努力したのではなく、脚本と演出の力が大きいと思います。脚本どおりに演じることでジアンが悲しいと私も胸が痛み、つらい時は苦しくなり、怒ると私も頭に来て、ドンフンが喜ぶ姿を見ると私もうれしくなりました。自分と脚本家の先生の考えが合わないことは多々あることですが、本作に限っては全くありませんでした。撮影中に脚本家のパク先生と電話をしたり会ったりしたことは一度もなかったのに、打ち上げの日にパク先生を見た瞬間、以前からよく知っている間柄のような錯覚に陥りました。脚本と監督の演出を心から信頼していたので、現場では何一つ恐れることなく演技でき、いい作品が完成したのだと思います。すばらしい脚本を書いてくださったパク先生に感謝の気持ちでいっぱいです。
IU:手話に集中すると演技がおろそかになり、感情移入しすぎると手話がぎこちなくなるという難しいシーンでした。頭の中が混乱してしまい失敗するたびに自分を奮い立たせながら演じたことを思い出します。苦労して撮った場面だからこそ、視聴者の皆さんの胸を打つことができたのでしょう。ボンエとジアンにとって手話は日常会話であり、今までの歳月を2人がどう過ごしてきたか描くために欠かせないものなので名シーンと言ってもらえて私も満足しています。
IU:特に説明はありませんでしたがミーティングの時に監督が何気なくおっしゃったことがあります。私が歌手なので耳が不自由な祖母にジアンが歌うシーンを思い描いていたけど、脚本家の先生に止められてその話が無くなったと聞きました。
ソンギュン:セリフがアドリブだったのではなく、僕たちが演じてる時に後渓メンバーが後ろでお酒を飲みながら交わしている世間話がアドリブでした。しかも毎回アドリブの内容が違うので面白かったです。それからNG王はソン・セビョクさんです。
IU:私も同感です。
ソンギュン:セビョクさんは初めてのドラマ出演だったのでとても緊張していました。一番面白かったのは兄弟掃除店の車を運転するシーンです。彼はマニュアル車の運転は苦手だったようで何度もエンストを起こしました。本人も緊張していたけど隣に乗ってる僕たちも死ぬかと思いヒヤヒヤしました。撮影の時間も押していたし、一歩間違えれば事故につながることなので本人も気が気ではなかったと思います。
ソンギュン:乗ってはいましたが、安全に車を横転させる装置がありました。
ソンギュン:僕自身、末っ子だからギフンを演じてみたいですね。ドンフンとジアンの関係ももちろん気に入っているけど、ギフンとユラのカップルが大好きでした。ギフンは何事も積極的に表現するタイプで、いつもイライラしてるけどドンフンにはない部分なので羨ましく感じました。
IU:性別が関係ないのであればト・ジュニョンを演じたいです。ヨンミンさんの演技はすばらしかったですが私も役者として挑戦したいという意欲にかられる役でした。卑怯でずるいけど人間らしくて、どこか憎めないかわいい悪役でした。
ソンギュン:ふだんのヨンミンさんもかわいらしい方なんです。
IU:“俺がお前に何かしたか?”というセリフがあるのですが、ジアンには本当に何もしてませんからね。それなのにジアンに陥れられ少しかわいそうです。かわいくて魅力的な悪役なのでト・ジュニョンを演じてみたいです。私は個人的に天真爛漫なユラがお気に入りです。
IU:ユラのセリフも胸に残るものが多く、特に“早くAIの時代が来ればいいのに”というセリフは印象深いです。
IU:私の代表作になりました。今後もたくさんの作品に出ると思いますが、役者人生を振り返った時に最も思い出深いドラマになることは間違いないでしょう。
ソンギュン:僕にとって「マイ・ディア・ミスター」は役者として成長できた作品で、これから目指すべき基準を教えてくれた作品です。さらに上の段階を目指すのは大変だと思いますが、演技とはどういうものなのかを再認識させてくれたドラマになりました。
建設会社の部長として働くドンフン(イ・ソンギュン)のもとへ、常務宛の賄賂の商品券が誤って届く。うっかり受け取ってしまいドンフンは窮地に立たされるが、派遣社員ジアン(IU/アイユー)の画策で商品券はゴミ箱から発見され、逆に〝大金を捨てた男〞として評価が上昇。ドンフンはジアンに口止めを頼むと、交換条件として1ヶ月間食事をおごってほしいと言われてしまう。実はジアンは、ドンフンの妻ユニ(イ・ジア)と不倫関係にある社長ト・ジュニョン(キム・ヨンミン)からお金をもらうため、ドンフンを陥れようとしていた。そうとは知らないドンフンは、ジアンに関わるうちに彼女が多額の借金を抱えていることや、孤独な人生を歩んできたことを知り、少しずつジアンを助けるようになる。そんなドンフンの優しさに触れるたびに、ジアンの心は少しずつ揺らぎはじめ…。