——韓国ドラマにハマったきっかけをお聞きできますか?
はしも:
中学2年生の頃、当時ちょうど日本で冬ソナがブームになっていた頃で、うちの母もめちゃくちゃハマってたんですよ。 チャンネルの主導権が母にあったので、僕は観るつもりがなくても、リビングにいるとついストーリーが頭の中に入ってくる。 そんなのが何回も続くうちに、いつの間にかストーリーが気になる側になっていて、気づいたら母親と一緒にテレビに夢中になって、冬ソナの虜になっていました。
——当時、ヨン様ブームがすごかったですもんね!うちの母親もよく観てたのでめちゃくちゃわかります。
はしも:
すさまじかったですよね!僕は、ヨン様とジウ姫が話す韓国語がすごく柔らかくて「聴き心地がいいな〜」と思ったところから、韓国語を聴いていると落ち着く体質になりました。
——『冬ソナ』という作品としては、はしもさんはどんなところに魅力を感じたんでしょうか?
はしも:
やっぱり、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウを取り巻く恋模様ですかね。それが二人だけの世界じゃなくて、4人の男女が韓国ドラマらしいすれ違いの展開の連続で、もうぐちゃぐちゃに掻き乱されていく。 そういう展開がたまらなかったですね。
——ぐちゃぐちゃになるのがいいんですね(笑)。
はしも:
ぐちゃぐちゃ、ドロドロな人間関係も韓国ドラマの魅力の一つですから(笑)。
それと、冬ソナを観ていると作品が進むにつれて「あれ、ヨン様死ぬのかな」っていうフラグがすごい立つんですけど、それで問い合わせが殺到したらしいんですよ。その声が大きすぎて、「途中で、脚本家が死なない方向にストーリーを変えた」という話が残っていて、それもまた韓国ドラマらしいエピソードで好きですね。
——そこから韓国ドラマが好きになっていったんですか?
はしも:
そうですね。当時は、母と一緒に観ていたので、『天国の階段』『太王四神記』『宮廷女官チャングムの誓い』『私の名前はキム・サムスン』などを観て、どんどん韓国ドラマの世界にどっぷり浸かっていきましたね。
とくに『私の名前はキム・サムスン』は、近所のレンタルビデオ店に置いていなくて、お年玉を使って母親とお金を出し合ってDVDを買うくらい。思い入れもある作品ですし、いまだにヒョンビンは好きな俳優の一人です。
「バストアップの写真を撮ります」と伝えると、ヒロインがライバルの男性と二人で楽しそうに過ごす姿を、窓から見てしまった御曹司の主人公をやり始めるはしもさん
©SBS
STORY:
人の心を読む特殊な能力を持つ高校生スハ(イ・ジョンソク)は、幼少期に父親が運転する車に乗っていたところ、トラックに故意に追突されて父親を殺されてしまう。 その事件以来、相手が何を考えているのか分かる特殊能力が備わってしまった。 当時 高校生だったヘソン (イ・ボヨン)は事件を目撃し、決定的な証言をしてくれた。 時は流れ、国選弁護士になっていた彼女を慕うスハは、ヘソンが様々な事件の弁護をするのを手助けする。 同僚のチャ・グァヌ(ユン・サンヒョン)もヘソンに恋心を抱いており、3人の関係は微妙に。一方、スハの父を殺害したミン・ジュングクが出所し、彼らの前に現れる…。
©SBS
はしも:
法廷サスペンスとラブロマンスが一つの作品で見事に融合しているのが、すごい。序盤の展開は、7対3ぐらいで法廷サスペンスの要素が強めなんですが、それがあるからこそラブロマンスが生きてくる感じになっているんですよ。それで、最後に終わる頃にはなぜか「10対0でラブロマンスじゃん!」となってしまう、不思議な作品でした!
それと、イ・ジョンソク演じる主人公のスハが「目を見れば相手の心が読める」という特殊能力を持っている設定なんですが、この設定が法廷サスペンスにも、 ラブロマンスにもすごくいい具合に、機能しているんですよね。それでいて最強すぎないというか…! むしろ「もし人の心が読める人がいたら、こういうストレスを感じるんじゃないか」というような感じで、 架空の設定だからこそリアリティを追求していて、主人公にも感情移入しやすい。
「人の心が読める」って実は、現代では「SNS」ともすごく関係が深いと思います。 昔は見えなかった人の言葉、裏側の生活が、今は誰でもどこでもキャッチできる時代なので、 そういう意味で『君の声が聞こえる』の主人公のスハの生き方は、どこか自分の生活とリンクしているような感じもしました。
©SBS
はしも:
主人公スハが人の心を読むためには、その人と目を合わせないといけないんですが、たまにカメラ目線でこちらを見つめてくる演出があるんですよ。 あれは、ズルいというか、女性の心を射抜くと思います。男の僕でもドキドキしますから。「見られてる!」「心読まれちゃう!」って。
最近のイ・ジョンソクって可愛い感じの役柄が多いんですけど、『君の声が聞こえる』は10年ほど前の作品なので、この頃はまだ24歳。 「いや、可愛いが可愛いしてどうすんだ!」という時代ですよね。本人も、『君の声が聞こえる』では、むしろ“かっこいい”を意識しながら演技してるんじゃないかと思います。相手の心を読んで、余裕の勝利を感じさせるようにニヤッと笑う演技とか、かっこよすぎてキュンキュンします。 当時のイ・ジョンソク、その時その瞬間にしかない魅力が発揮されてて、めちゃくちゃ尊いと思います!
©SBS
はしも:
韓国ドラマの中には、見終わったときに「うっわ。この終わり方……うっわぁ」という気持ちにさせる作品があります。 結構あります。でも、『君の声が聞こえる』はまったくそんなことがなくて、モヤモヤが少しも残らず、スッキリとできる作品でした。 序〜中盤で広げた風呂敷を、終盤ですべて回収していってくれるので、安心して観ていられます。
観た後にすっきりできるかどうかは、主役二人の恋模様にからんでくる脇役の存在も大きいですよね。 とくにヘソンのことを好きになるグァヌが、いい脇役なんですよ。 「好き」という感情をまっすぐ表現するし、優しくもある。ただ、やっぱりヒロインとは結ばれないキャラクター性というか、 そう感じさせるポイントがあって、最終的には主役を引き立てるんですよね。その“送りバント”的な雰囲気をうまく醸し出せる、ユン・サンヒョンの演技にも注目です。
©SBS
はしも:
僕、じつは『君の声が聞こえる』の脚本家、パク・ヘリョンさんのファンなんです。 というのも、『君の声が聞こえる』は法廷が舞台となる作品だけあって「正義と悪」という立場はどの登場人物もすごく明快なんですね。 だけど、悪役には悪役なりの事情があって、誰しも最初から100%の悪人ではない、ということを描くのが、パク・ヘリョンさんの作品の特徴なんです。
主人公と敵対関係にあるジュングクという人物がまさにそう。スハとは似ている部分もあるのに、最終的には真逆の立場になってしまうわけです。 じゃあ何が違っていたら、ジュングクは闇堕ちしなかったのか。もしジュングクの周りに、一人でも彼を信じる人がいたら……。 そんなふうに登場人物の人生や境遇に思いを馳せることができるのも、このドラマの魅力です!
はしも:
2017年の作品で『あなたが眠っている間に』というドラマがあるのですが、これが『君の声が聞こえる』と同じく、脚本家パク・ヘリョンと俳優イ・ジョンソクのタッグで、法廷サスペンス×恋愛×ファンタジーの作品です。二人の相性の良さ、『君の声が聞こえる』との違いも楽しめるので、ぜひ連続で観てみてください!
(取材・文/郡司しう)
NSC(吉本総合芸能学院)東京校16期卒業。2011年、俵山 峻と「スクールゾーン」を結成。独自の感性が光る唯一無二のコントで人気を博す。 また、幼少期より慣れ親しんだ韓国ドラマやK-POPの知識、特技である韓国語を生かした「韓国あるある」をSNSで発信し、大きな話題を呼んでいる。
全国のJ:COMエリアで視聴可能な無料チャンネルです。映画、ドラマ、旅紀行、音楽、アニメなど、大人のための上質なエンタテインメントをお届けします。
J:COM対応物件にお住まいの方ならどなたでも無料でご覧いただけます。
※大分ケーブルテレコムのエリアではご覧いただけません。