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コラム

子どもにテレビを
見せてもいい?

発達心理学専門家 大日向先生に聞きました!

大日向雅美

発達心理学専門家 大日向先生に聞きました!

プロフィール

大日向雅美(おおひなたまさみ)

恵泉女学園大学学長。NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事。
子育てひろば「あい・ぽーと」施設長。学術博士。

働くママが増える中、家事の合間にテレビやDVDを子どもに見せることについて、どう思われますか。

子育てって生活そのものですね。ちょっとお料理を作っている時とか、子どもをキッチンに入れるのが危なかったりする時に、「ちょっと、これ見ていてね」ってテレビやDVDを見せたりするのは問題ないと思います。
そういうことに罪悪感を覚える必要はありません。子どもに影響がある・ないを気にするよりも、見せるものを選ぶことが大切です。それから、見せる時間ですね。ダラダラとずっと1時間、2時間見せるのは、子どもの発達からして、やはりあまり良いことではないでしょう。音や色など刺激が強いものも多いですしね。

見せる時間について、目安はありますか?

たとえば2・3歳なら1話が3~5分のものを「3つだけね」とか、「時計の長い針が3の所へいくまでね」とか、時間を区切って子どもに楽しませる工夫を。それがなかなかできなくて「もう1回、もう1回」とおねだりしてくる時には「一度お約束したことだから」と毅然として言い聞かせてみることですね。
とは言え、1回した約束は何が何でも守り抜かなくてはと、頑なになるのもどうかしらと思います。子どものコミュニケーション能力を育むチャンスにもなりますから。たとえば「あと2つ見たいから、どうやって交渉しようか」って、哀願してみたり、いろいろ駆け引きをしてきたりする子どもの姿も、なかなか可愛くて、見ていて面白いことがありますね。「1日何本って決めたから絶対ダメ」ではなくて、「1週間のうち金曜だけは、ちょっとゆるく」とか、話し合いでルールを作っていくことを楽しむ余裕もあるといいですね。

もう少し上の年齢の場合はどうでしょうか。

4・5歳になると、自分の言葉で要求もできるようになりますし、善悪の判断や考える力も徐々に育ってきますので、この頃からは見る時間やお約束を守るというところをより意識して導いていくようにできると良いと思います。
また、年齢を問わず、激しい暴力シーンや性的な場面が出てくるものは極力避けてほしいですね。恐怖を感じさせたりするでしょうし、「モデリング」といって、子どもは真似をしますので。

「モデリング」とはなんですか?

模倣するということです。たとえば「ぶつ」という行為を頻繁に見せると、それをコミュニケーション手段として真似をして、身につけてしまうことがあります。たとえば、6カ月の赤ちゃんでも、ママやパパが「べーっ」と舌を出すと、舌を出して返してくることもします。また、音の激しいもの、画面が激しく変わるものは、乳幼児期は極力避けてあげたほうが良いと思います。

とすると、子どもに見せる前に、パパやママがあらかじめ見ることが大事なのでしょうか。

「ある程度」ですね。ある程度見て、「ああ、このシリーズなら大丈夫」とか、そういう選別をすることは親の役割だと思います。「我が家ではこういうものを見せて良い」とか、「これはやめよう」とかですね。3・4・5歳ぐらいになると言葉が発達してきます。「こういう話し方や発声はこの子にしてほしくない」と思ったら、それは見せないことですね。一律に「これは良い、悪い」ではなくて、それぞれのご家庭で、また親として、一定の基準をつくることができたら良いと思います。

シチュエーションに合わせた「見せかた」はあるのでしょうか。

テレビの音は、楽しいけれど、やっぱり長時間、流れているとかなり疲れる音なんですね。大人でもずっとテレビをつけていて、消すと、スッとしたりホッとしたりすることありますでしょ。情報処理能力が未発達な子どもにとっては、大人以上にテレビやDVD、YouTubeから出ている音は刺激が強いものがあります。ボリュームと時間の設定は大事にしたいですね。
理想を言えば、食事の時は消したほうが良いでしょう。一緒に会話を楽しみながら、「美味しいね」とか、「これは庭でとったトマトよ」とか、いろいろと話題を楽しみながら食事ができたら素敵です。いつもいつも理想通りにはいかないのが子育てですが、「あるべき姿は?」と聞かれたら、消したほうが良いと思います。

ここ最近、先生ご自身が感じておられる懸念、今までになかった事象は何かお感じですか。

私が親子関係の研究を始めた頃、母親たちの育児ストレスや育児不安の現象が出現したのです。40年余り前でした。「母親1人で子育てのすべてを担うのは歴史的にもなかったことですし、限界です。母親が子育てに喜びとゆとりを持てるためにも、社会の皆で支える必要があります」と、育児に悩む母親を対象とした全国調査を基に主張したのですが、ほとんどの人は見向きもしてくれなかったんですよ。「女性には母性本能があるのに、子育てがつらいとか、育児のために自分の時間がなくてつらいなんて言うのは贅沢だ」とか言われて。今は随分社会も変わって、政府や行政、社会全体が子育て支援の必要性を認めてくれるようになりましたね。ですから、ママたちも辛さを口にできるような「土壌」は整ってきています。
でも、母親に育児の責務を科す風潮は完全には払しょくされていません。むしろ、何かあると、いまだに「母親がなぜしつけ一つできないのか」「スマホばかり見せて」と、厳しい眼差しが注がれます。ですからママたちも「母親として失格じゃないかしら」と、昔と同じように悩んでいる人が決して減っていないことに胸が痛みます。

テレビの視聴環境も激変してきて、昔とは違う悩みも出てきましたよね。

以前はテレビ対策が主でしたが、今はスマホにYouTubeに、いろいろな視聴ツールが出てきて、情報があふれているだけに、逆に昔より悩んでいるママも多いですね。Instagramで素敵な写真が出されていると、「私はこんなに手の込んだお料理を作っていない」と、他人と比較して落ち込んでしまう。Instagramに載せるというのは、キレイにお部屋も片付いて、お料理も素敵にできた時だけですよね。ですからあまり気にしないでと言うのですが、やっぱりあれば、見てしまう。あえて見ない時間をつくるというように、どこかで自分を律することも、昔以上に求められている大変さがありますね。
いつの時代も「大変さ」はあるでしょう。ただ、最近は新しいツールに翻弄される危険性が高いことが、今どきの大変さかと思います。

テレビやスマホを子どもに見せることが、なんとなく悪影響のようなイメージもありますよね。

「テレビを見せると子どもの発達が歪む」とか「スマホばっかりやらせていると、子どもの発達が歪む」とか、一部で言われていますが、いずれもエビデンスは乏しいと思います。
大分以前ですが、アメリカの小児科学会が、「テレビに子守をさせないで」という警告を出したことがあります。2歳児までにテレビを見せると、発達に支障をきたすということで、母親たちを随分と不安にさせたのですが、でもそれは実は1日8時間以上、見せた場合のデータだったりしました。これはテレビの影響というよりも、2歳ごろまでに8時間も見せっぱなしにしている養育態度に問題がありますものね。それなのに、「テレビに子守をさせるな」って、テレビだけを犯人に仕立てて、分かりやすいキャッチコピーでしたけど、…ちょっと罪深いですよね。

働くママたちにテレビは不可欠かと思いますが、気をつける点はありますか?

昔はテレビ番組もこんなにたくさんはありませんでした。それに「どこのチャンネルの子ども番組を見せていれば安心」という目安もある程度ありましたし。子ども番組の時間帯もだいたい決まっていて、そこでは子どもが見ても安全な番組が流されていました。
今は本当に、どこを見て良いか分からないぐらいチャンネルがたくさん増えていますね。一応、暴力シーンや性的刺激の多い番組は、子どもの視聴時間でない時間帯にするという基準もありますが、それが「見逃し配信」でいつでも見られたり、昼間や夕方に再放送として放映されたりしています。ですから、もともとは大人が視聴する時間帯の番組だったものが、平日、学校から帰ってきた子が見てしまうこともあります。「親の選択の責務と権利」を発揮することが、そういう意味では難しい時代です。

余談ですが、先生が最近の子ども向け番組をご覧になって感じることはありますか?

時代背景の変化を感じることがあります。たとえばディズニーですが、かつてのディズニーは「白雪姫」でも「シンデレラ」でも、自分の意見はほとんど言わないんですね。「白雪姫はこういうふうに思いました」という間接話法が主でした。「私はこう思います。私はこうしたい」と言う場面が少なかったかと思います。そして最後に白馬に乗った素敵な王子様が登場して、二人が結ばれて幸せ!というシーンで終わるものが大半でした。
ところがディズニーも最近変わってきて、「アナと雪の女王」などでは、はっきりと自分の主張を言うお姫様になってきていますでしょ。「モアナと伝説の海」では、男の人との恋愛がテーマではなくて、むしろ、周囲の人と力を合わせて難題を解決する女性のしなやかでりりしい姿が描かれていますね。
童話も時代と共にメッセージ性が変化していると思います。女の子は可愛くて、素直で男の人に守ってもらって幸せになるという「お姫様物語」から、共生を大切にしつつ、自分でしっかり問題に立ち向かう自立した女性像へと変遷していることも知っておかれると面白いですね。好き好きはいろいろあっていいと思いますが、子どもたちに多様な選択肢を見せることが大切かと思います。

知育番組を見せることについてはどうでしょうか。

親はとかくいかに子どものIQを高めるか、いかに頭を良くするかに関心がいくかと思います。そういう本もいっぱい溢れていますね。
ただ、ちょっと注目していただきたいのは「幼児期の終わりまで育ってほしい10の姿」(参考:ページ最下部に記載)です。幼児教育に関連する指針です。数や量、モノを知っているという「認知能力」も大事ですが、それ同じに、いえ、それ以上に大事なのは「非認知能力」だと言われているのです。

「認知能力」、「非認知能力」とはどんなものですか?

「認知能力」は、いかに何を知っているかです。つまりIQで測れるものですね。IQというのは可能性ではなくて、いま持っている知識の量です。言葉をどれだけ知っているか、単語の量や平仮名を書けるか漢字が読めるか、数がいくつまで数えられるか等々。
これも大切ですが、それ以上に乳幼児期には、「非認知能力」を豊かにすることが大事だと、最近、言われるようになりました。たとえば目標に向かって頑張れる、努力ができる、他の人とうまく関われる、感情をコントロールできる等々です。

「非認知能力」はどうやって育てたら良いのでしょうか。

テレビやDVD視聴を通してできることもたくさんあると思います。たとえば、一緒に番組や映画を見るとき、そこで流れている音楽の美しさを楽しむとか、登場人物の気持ちに共感するとかですね。音楽の美しさや心地よさ、楽しい場面で笑い、悲しい場面で涙を流すなど、人と人とが心を通い合わせる経験ができますね。
そして、それを一緒に味わうことですね。親子で一緒に観る時間も工夫できたら素敵ですね。いつもでなくても。「良かったわね」「ああ、かわいそう」「この主人公、やさしいわね」とか。そういう親とのコミュニケーションを楽しんだり。また主人公が努力して頑張っている姿を見ることで、自分もどんな難しいことがあっても頑張ろうと思えるか、とかですね。
こうした「非認知能力」を育むことにも、関心を持ってくださると良いかしらと思います。知識の量を増やすことだけを気にするのではなくてね。

大人の思いばかりが先行してしまっている感じがありますよね。

相手に共感する、思いやりを育む、約束を守るとか、人としての在り方の基本ですし、いずれも人としての感性ですね。そういうものを養うことが乳幼児期はとても大事で、カトゥーン、番組、コンテンツなどを通してできることもたくさんあると思います。
数を覚えさせることも大切でしょう。でも、その時は、一緒に楽しく、ですね。いつも「一緒に」ってなかなか難しいかもしれませんが、できたときに「すごいねえ!」と褒めてあげてください。いくつ覚えた、数がいくつ分かる、なぞなぞが何問解けた、だけでなく、「解く楽しみ」を一緒に感じる。一緒にママやパパと考えて面白かった、とか、そういう時間になれば良いですね。
「非認知能力」というのは、実際には見えにくいものですが、親が子どもと一緒にいることを楽しみ、そうした時間を恵まれていることに感謝する心のなかで、子どもにもいつしか自然と育まれていくものだと思います。

ありがとうございました。

■参考
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」
幼稚園・保育園・認定こども園で、共通の目標を掲げた教育が、2018年度からはじまっています。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」は、5歳児後半の子どもの育ちの方向性を、次の10項目で示したものです。
・健康な心と体
・自立心
・協同性
・道徳性、規範意識の芽生え
・社会生活との関わり 
・思考力の芽生え
・自然との関わり、生命尊重
・数量や図形、標識などへの関心・感覚
・言葉による伝え合い
・豊かな感性と表現
※「10の姿」は方向性であり、到達目標ではありません。

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